風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2010-01-01から1年間の記事一覧

営業戦略について思うこと

正月休みを利用してビジネス書をあれこれ読んでいる。 営業戦略論やマネジメント論など読んでいて、読んでいる最中はなるほど、ごもっとも、 と思う。しかしながらこれらを実戦に応用しようとするとずいぶんな時間と手間が かかる。本当にそれだけの意味があ…

アリス=紗良・オット

アリス=紗良・オットというピアニストに興味がある。 若干19歳でドイツ・グラモフォンと契約した美人ピアニストということで、話題に なっていたのは知っていたが(『アルゲリッチの再来』とか『ピアノ界のジャンヌ・ ダルク』とか言うのはどうかと思うが…

映画「カティンの森」を見て

今の人達には想像も出来ないだろうけれど、僕が若かった時代は米ソ冷戦のまっただなか で、ある日、日本に核ミサイルが落ちてきて自分はじゅっと蒸発してしまうのでないか、 という恐怖は僕の中では現実のものとしてあった。皆が皆、そんなことを想像して暗…

正倉院展と平城京跡

秋晴れの一日、思い立って休暇を取り正倉院展と平城京跡に行ってきた。 正倉院展に行くのは2年ぶり。話題の平城京跡は初めてである。 奈良国立博物館に着いたのは朝10時頃。 平日の朝早くだから空いているだろう、という期待は空しく外れてすでに沢山の人が …

ブラームスのバラード「エドワード」(2)

前回の記事の続きである。 さて、前回日本語訳した詩「エドワード」にインスパイアされて作曲されたブラームスの ピアノ曲バラードOp.10-1であるが、ウィーン原典版の楽譜の序文にも書かれているし、 Jasonさんも指摘している通り、ドイツ語の詩句の最初の数…

ブラームスのバラード「エドワード」(1)

クラシックのピアノ曲に「バラード」というジャンルがある。 歴史物語に由来した詩(バラッド)にインスパイアされた作品ジャンルのことで、ショパ ンの作曲した4つのバラードやリストのバラードがよく知られているが、ブラームスも また4曲のバラードを作…

iPod touchと「i文庫」

夏に買ったiPod touchは長男が見せびらかすので欲しくなって衝動買いしたものだが、 初期不良で交換した後は快調に動いており、結構気に入っている。 予想以上にほとんど使っていないのはネット閲覧、メール、メモ帳機能など。 そうすると、何に使っているか…

真珠の耳飾りの少女

ドイツで過ごす日曜日。 出発前の計画通り、列車を乗り継いでオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館に 向かった。国際特急Thalys(フランスの超特急TGVのと同じだが深紅に塗られている) は全席指定で、座席も広くとても快適。列車はフランドルの平野を…

ブラームスのピアノ

ハンブルグ最後の一日、空き時間でブラームス記念館を訪れることができた。 ガイドブックには金曜日は定休日と書いてあったので、中に入れなくてもせめて 外からだけでも見たい、という思いで訪れたところ、なんと開いていた。 閉館は午後5時で僕が入ったの…

In Hamburg(・・・like a letter)

お元気でお過ごしでしょうか? ご承知の通り、僕はドイツ・ハンブルグにいます。 気温は18℃、上着を着ていても寒さを感じるくらいの気温です。 ホテルの僕の部屋は11階で窓の外を見ると、行き止まりになった小さな運河と それにかかる橋、そしてまるで戦争映…

「言葉の力」再考

水曜からのドイツ出張に向けて重い腰をあげて荷造りを始めた。 現地7泊なので結構な量になり、詰めていて気が重くなる。 出張でない旅行でも荷造りをしている時はだいたい憂鬱で、行きたくない気分になる のだが、出張なのでなおさらである。ああ遠いな、ま…

模型作りを遠くに眺めて

僕が小学校、中学校のころはプラモデル全盛期で男の子の多くがプラモデルを作って 遊んでいたような記憶がある。それも最近はやりのガンダムというそういうのでは なくて、ゼロ戦やタイガー戦車といった飛行機や戦車の模型だった。 僕もその一人で、仲間たち…

ピアノを弾く意味

前回記事に書いたとおり、最近ピアノにはまっている。 ここ5年ほどご無沙汰だったのに、今は鍵盤に向かうのが楽しくてしかたない。 これは一時的なものでなく、これから長く僕はピアノを弾き続けるのだろうという予感を 強く感じている。 そしてそれは恐ら…

「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」

単身赴任から戻ってきてから、土日に少しずつピアノを弾くようになった。 ここ数年間、弾いたとしてもごくたまに、というところだったのだが、改めてその面白さ を再認識している。 下手の横好き、である。 ここのところ、バッハのカンタータやコラール前奏…

「白痴」を読んで

ドストエフスキー「白痴」を読了した。 いつもながらドストエフスキーの小説を読むと、呆然とした気持ちと満腹感と複雑な 感想で頭がいっぱいになる。 いつもそうだけれど、ドストエフスキーの小説は感想を書くのが非常に難しい。 筋立ては単純。 あまりに善…

「オルセー美術館展」に驚愕(2)

セザンヌに心底感動した僕の胸は、相変わらず鼓動が早いままである。 続く部屋にはロートレック、ゴッホ、ゴーギャンと豪華絢爛な名画がこれでもか、 とばかり並べられている(ゴッホが7点、ゴーギャンが9点)。 なんという至福! ゴッホの有名な「自画像…

「オルセー美術館展」に驚愕(1)

東京出張のついでに国立新美術館の「オルセー美術館展2010」に行ってきた。 これが噂に違わぬ実に素晴らしい展覧会であった。 オルセー美術館の改装工事に伴って、門外不出の名画をアメリカ、オーストラリア 日本を巡回するという企画で、やってきた名画の多…

村上春樹が語ったこと

昨日、日記帳のほうで取り上げた「考える人」に掲載された村上春樹のロングインタ ビューを読了したので、特に心に残った部分を備忘録として抜き書きしておく。 【引用始まり】 --- 『ノルウェイの森』はもともと250枚ぐらいの、さらりとした小説にする …

岡田武史の心のうち

ある時期、岡田武史(サッカー日本代表監督)という人物に興味を惹かれて、当時絶版に なっていた彼の書いた本(「蹴球日記」)を古本屋で探してまで読んだことがある。 僕はサッカーは結構好きだけれど、岡田氏に興味を持ったのは彼のサッカーそのもの に興…

鳩山首相辞任に思う

鳩山氏が辞任し菅直人氏が新総理となった。 メディアは皆、鳩山は馬鹿だった、無能だった、と罵っているが、どうなのだろうか? 僕が思うに、政治家としてバランス感覚に少々問題はあったものの、そこまで罵倒される べき総理大臣だったとは思っていない。政…

1Q84 BOOK3

「1Q84 BOOK3」を読了した。 少しずつ楽しんで読んでいたのにあっという間に読了してしまい、気が抜けてしまった 感じである。ネタバレになってはいけないのであるが、BOOK3の最後は、村上作品にして は珍しい強い終止感を持って終わる。全てがクリアになる…

フラグメントの快楽 -1Q84-

「1Q84」BOOK3を読む前にBOOK1から読み直しているのだが(実に楽しい!)、昨日、 日記帳で村上春樹のアナロジー(例え)の例として、以下のフレーズを挙げた。 【引用始まり】 --- 彼女は何をするにしても、ほとんど音というものを立てなかった。 森を横切…

吉本隆明あれこれ

吉本隆明「共同幻想論」を再読完了。 吉本の考えるところの対幻想が共同幻想に成長してゆく過程については十分了解できた という実感はまだない。ノートを取りながら読んだがその点以外、いろいろな面で考え させられ、面白かったので、以前父親から譲り受け…

能 〜 沈黙と静寂の芸術

東京での2年間で意義深かったことのひとつに、能を見たことが挙げられる。 能は僕に二つの思考の種子をくれた。 一つめは能を通して芸術における沈黙と様式の意味を考えさせられたこと。 台詞や囃子、謡があるものの、基本的に能は沈黙と静寂の芸術である。…

「超訳 ニーチェの言葉」に呆れる

本屋であれこれ本を物色している時に気づいたのが「当店売り上げ第二位!」と書いて あったハードカバーの「超訳 ニーチェの言葉」(白取 春彦翻訳)。 へぇ、何で今頃ニーチェがベストセラーに?と思い、手にとってぱらぱらと斜め読み して仰天した。確かに…

辺縁に身を置きたい

日々僕は焦燥感を感じている。 「まだ何も世界のことを理解していない。まだ何も自分と世界の間に普遍の 架橋が作れていない」ということに。 若い頃からしばらく前まで、仕事から、そして仕事の人間関係から得るもの もあったが、最近はそれもなくなりつつ…

バビロンの流れのほとりにて

森有正の「バビロンの流れのほとりにて」「流れのほとりにて」を再読している。 この人は終生、自分自身がまともな人間になるために哲学していた人であると、読めば 読むほど痛感する。そのストイシズムは痛々しく、痛烈で、純粋で逃げを知らない厳しさ に満…

知性のペシミズム、意志のオプティミズム

思想家アントニオ・グラムシの有名な言葉に「知性のペシミズム、意志のオプティ ミズム」というものがある。 この言葉はグラムシがムッソリーニによって投獄されている期間に綴られた「獄中 ノート」にある言葉ということだが、この言葉の僕なりの解釈はこう…

シュートを打てない日本人

サッカー東アジア選手権の日本対韓国戦、3−1で完敗。 テレビで見ていて残念であり、がっかりである。 解説者も指摘しているが日本の選手はシュートが少なく、パスが目的化している。 その通り、と思いつつも、ある面でこれは仕方ないよな、とも思う。 日本…