風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マタイ受難曲

クラシック音楽のCDの売れ行きが凄まじく減っているそうだ。 本当か嘘か知らないが、5000枚も売れれば大ヒットの部類だとか。 まぁ、これはやむを得ない。別に演奏家やマネジメントのせいとは 思わない。同じく(ここが重要なのだけど)聴衆が悪いとも思わ…

硬質な抒情

ここのところ池澤夏樹の本を何冊か読んでいる。 「スティル・ライフ(これは再読)」「骨は珊瑚、目は真珠」「ハワイイ 紀行」など。池澤の作品はどれも硬質な抒情が感じられるものばかりだ。 僕はこういう「抒情性」に昔から弱い。 例えば柴田翔とか堀辰雄…

凍りついた海

そのとき、僕は小さな港町にいた。 真冬の、2月のデンマークの北海に面した小さな港町。 小さな、ほんとうに小さな町。その町に滞在したのは、もちろん仕事のためだ。 仕事以外何一つすることがないような町。 小さな鉄道駅と港以外、何もない町。 地獄の門…

ヴァンドーム広場

「ヴァンドーム広場」を観た。 カトリーヌ・ドヌーヴ主演の1998年のフランス映画。マリアンヌ(ドヌーヴ)は 自殺した宝石商の妻。そこに現れたのが、かつて愛したこともあるが、裏切った 上に自分を捨てた男。マリアンヌは過去を清算するためにもまた男と会…

何故、女性には恋が全てなのか。

香川大学に岩月謙司という教授がいる。 この人の「女は男のどこを見ているか」という本(ちくま新書)は、そこ そこ売れたので、ご存じの人も多いと思う。僕もこの本を読んだのだけど、 なかなか説得力のある、体感的には納得できる部分が多くある本だった …

The Remains Of The Day

英国人作家カズオ・イシグロの小説「日の名残り」が好きだ。 映画にもなっていて、主人公の執事スティーブンスをアンソニー・ホプキンスが 、女中頭のミス・ケントンをエマ・トンプソンが見事に演じていた。 この小説では一度だって、好き、とか、愛してる、…

「人に迷惑さえかけなければ何をしてもいい」のか?

僕には大嫌いな言葉がある。 「人に迷惑さえかけなければ何をしてもいい」 という言葉だ。何故嫌いか? この言葉、一見まっとうで論理的に正しいことを言っているようなの だが、人が言葉に出すときには、前半「人に迷惑さえかけなければ」より も後半「何を…

読者が感じる痛みには自覚的であり続けたい

何故、インターネットという公開された場で記事を書くのか? 自分の気持ちを吐き出すだけならば、公開などする必要は、ない。 僕も、そして他の日記を公開されている記者の皆さんも「人に読まれる」 ことを大前提にして日記を公開している。その理由はいろい…

結婚の本質

根っこからいこう。 なぜ結婚という制度ができたのか、考えてみる。恋愛というのは非常に強い不安定な感情だ。相手をどうしても独占したい 「この人の為だったら【家族だって、共同体だって】何だって捨てられる」 という強い感情。でも、ちょっと待ってくだ…

真実は中庸の中に

心が真っ白な人なんて、いない。 逆に心が真っ黒な人もいない。 みんな、実のところ半分半分、だ。 いやそれは言い過ぎ、か。 ある時は45:55になったり、ある時は55:45になったりはする。 せいぜいその程度。 これまでいろいろな人と接してきて、…

幸福の条件

中島義道という、僕が大嫌いな哲学者(印税が彼の手元に入るのが嫌で 彼の本は古本屋でしか買わない(笑)がいるのだが、珍しくまともなこと を書いていた。彼によれば人が「幸福」を感じるのは以下の条件が満たさ れている時だと言う(ちょっと言葉を変えて…