風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

音楽

ミラノ・スカラ座 ヴェルディ・ガラ・コンサート

思わぬ僥倖でスカラ座管弦楽団のチケットが手に入ったので聴きに行った。 場所は新しく出来た大阪のフェスティバルホールである。 実は僕はイタリア・オペラも、ヴェルディもあまり好きではない。 昔、アメリカ出張でシカゴに行った時、シカゴ交響楽団のヴェ…

ピアノコンクールを見て

自宅近くのホールでアマチュアのためのピアノコンクールの予選が行われると 聞いて、出かけていった。 その感想。出演者は皆、コンクールを目指して練習しているだけあって、指のメカニック、 テクニックは見事なもので、中には音大卒業生か?と思えるほどの…

驚愕のピアニスト グレゴリー・ソコロフ

YouTubeには「次の動画を再生したため、おすすめします」と言って、トップページ で僕の好きそうな動画を勧めてくる機能がある。そのお勧めで何気なくクリックした 動画に僕は釘付けになった。 不勉強にして今まで全く知らなかった驚愕のピアニストと突然遭…

同音連打についての雑想(1)

自宅の楽譜棚を漁っているとスカルラッティのニ長調のソナタK.435の楽譜が 出てきた。昔、ちょっとだけ譜読みをしてちゃんと弾かずに放り出していた ものだ。久しぶりにピアノで触ってみているうちに記憶が蘇ってきた。 この曲を始めて耳にしたのは15年ぐら…

内田光子ピアノリサイタル

サントリーホールの内田光子ピアノリサイタルに行ってきた。 内田光子は長い間、一度生で聴きたいと思っていたピアニストである。 半年前にチケットを入手し(良く手に入ったものだ)、万全を期して会社を休んで 上京した。 この日のプログラムはモーツァル…

ショパンが面白くて

ここ数年、楽しみのピアノはもっぱらバッハ、ブラームスでショパンを弾くことは ほとんどなかった。それが最近、ショパンにハマりつつある。 もうショパンの曲を弾くなんてことはないだろう、と思っていたのに。 もっとも、今の僕のピアノはきちっと練習して…

アリス=紗良・オット ピアノリサイタル

二つ前の記事で取り上げたアリス=紗良・オットのピアノリサイタルにびわ湖ホール に出かけた。このホールは駅からやや離れた場所にあるが、琵琶湖に面していてホワ イエから眺めを楽しむことができる。 ホール自身も落ち着いた良い雰囲気のたたずまいであっ…

アリス=紗良・オット

アリス=紗良・オットというピアニストに興味がある。 若干19歳でドイツ・グラモフォンと契約した美人ピアニストということで、話題に なっていたのは知っていたが(『アルゲリッチの再来』とか『ピアノ界のジャンヌ・ ダルク』とか言うのはどうかと思うが…

ブラームスのバラード「エドワード」(2)

前回の記事の続きである。 さて、前回日本語訳した詩「エドワード」にインスパイアされて作曲されたブラームスの ピアノ曲バラードOp.10-1であるが、ウィーン原典版の楽譜の序文にも書かれているし、 Jasonさんも指摘している通り、ドイツ語の詩句の最初の数…

ブラームスのバラード「エドワード」(1)

クラシックのピアノ曲に「バラード」というジャンルがある。 歴史物語に由来した詩(バラッド)にインスパイアされた作品ジャンルのことで、ショパ ンの作曲した4つのバラードやリストのバラードがよく知られているが、ブラームスも また4曲のバラードを作…

ピアノを弾く意味

前回記事に書いたとおり、最近ピアノにはまっている。 ここ5年ほどご無沙汰だったのに、今は鍵盤に向かうのが楽しくてしかたない。 これは一時的なものでなく、これから長く僕はピアノを弾き続けるのだろうという予感を 強く感じている。 そしてそれは恐ら…

「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」

単身赴任から戻ってきてから、土日に少しずつピアノを弾くようになった。 ここ数年間、弾いたとしてもごくたまに、というところだったのだが、改めてその面白さ を再認識している。 下手の横好き、である。 ここのところ、バッハのカンタータやコラール前奏…

レオン・フライシャー ピアノリサイタル

昨夜、NHK教育の芸術劇場で、レオン・フライシャーのピアノリサイタルを見た。 この人は30年前に右手が病気で動かなくなり、長らく左手のための曲を演奏したり 音楽教育や指揮活動にシフトしていた人であるが、リハビリの結果、右手が完全では ないものの…

グスタフ・レオンハルト チェンバロリサイタル

雨の中、第一生命ホールでのレオンハルトのチェンバロリサイタルに行ってきた。 レオンハルトは今年81歳になるチェンバロの巨匠、学者肌でマスコミに距離を置く 孤高の巨匠として知られる演奏家である。リサイタルで演奏された曲はどれも僕の知らない曲(恐…

池上實相寺・サロンコンサート

池上實相寺で行われた寺神戸亮氏のサロンコンサートに行ってきた。 實相寺は池上梅園に隣接してある古刹であるが、この一角にしつらえられた 寺子屋と呼ばれる小スペースでのコンサートである。 訪れてみてあっと思ったのは、この寺子屋、ステージにあたる部…

ヘンデル「メサイア(ロンドン初演版)」

12月23日サントリーホールでのヘンデルのオラトリオ「メサイア」のリサイタル に行ってきた。演奏はバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)。 サントリーホールで音楽を聴くのは僕はこれが初めてである。演奏は古楽器を使った思った以上の小編成だったが、BCJら…

寺神戸亮「バッハ・無伴奏チェロ組曲」リサイタル

古楽器奏者の寺神戸亮氏がバッハ無伴奏チェロ組曲の2番、4番、6番を弾く コンサートに行ってきた(ノワ・アコルデ音楽アートサロン)。 このコンサートは現代チェロではなくバッハの時代に使われたと考えられる ヴィオロンチェロ・ダ・スッパラという楽器…

中村紘子ピアノリサイタル

中村紘子のピアノリサイタルがあるということで江戸川区総合文化センターへ 行ってきた。実は僕は中村紘子の演奏は音源は持っているがあまり好きではなく、 リサイタルも昔一度行って失望した記憶がある。 それでも行ってみよう、と思ったのは僕が偏愛するブ…

バッハ・コレギウム・ジャパン「ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会」

昨夜ミューザホールのバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会に行ってきた。 曲目はブランデンブルク協奏曲第一番〜第六番の全曲演奏である。 ブランデンブルク協奏曲はバッハがブランデンブルク辺境伯ルートヴィヒ公に 捧げた曲集で、六曲から成るがそれぞれ…

エマールの「フーガの技法」

昨夜、帰宅してTVをつけたらピアノの音が耳に飛び込んできた。 バッハの「フーガの技法」の演奏で、ピアニストは僕の知らない人。 あとで調べたらピエール・ローラン・エマールだった。 確か現代曲の演奏では名前を聞いたことはある。 「フーガの技法」は僕…

古楽器の演奏を聴いて

今週は赴任地で週末を過ごしているのだけれど、昨夜急に思い立って今日の 午後、コンサートを聴きに行ってきた。曲目に僕の好きなバッハも含まれていた 古楽器のコンサートだったのだが、残念ながらいまいち、であった。 演奏者も名前の通った人で、楽器もな…

久しぶりにショパンを聴いて思うこと

単身赴任生活を始めて二回目の週末。 相変わらず家事に忙殺されてはいるけれども、少しずつ余裕も出てきている。 赴任前から取り組んでいるテープ音源のMP3化を今日は進めることにした。 今日選んだテープはたまたまショパンのピアノ曲のもの2本。 ディヌ・…

ベルリン・バロック・ゾリステン演奏会

仕事の合間にベルリンフィルの精鋭を集めた世界的に有名なバロックの弦楽アンサン ブルであるベルリン・バロック・ゾリステンの演奏を聴いてきた。 この日のプログラムは:・ヘンデル:オペラ「アルチーナ」より弦楽のための組曲 ・モーツァルト:チェンバロ…

崇高系クラシック曲

そもそもクラシック音楽とその他の音楽には質的な違いはあるのだろうか? それとも、音楽は音楽、他ジャンルと違いはないのだろうか? どんなジャンルであろうと音楽には違いはない、素晴らしいクラシック音楽がある ように、素晴らしいポップス音楽、素晴ら…

シューベルトを弾く少女

フィンランド最終日、空港に向かう前にテンペリアウキオ教会に行った。 観光客の誰もが行く岩をくりぬいて作った有名な教会。 自然光をいっぱい取り入れた美しい簡素な教会。聖堂の中からピアノの音がする。 奏でられていたのはシューベルトの遺作のソナタ21…

ワーグナーとドイツ人

出張が続く日々。 先日、仕事が終わって飛行機に飛び乗った。 今月の機内誌もショッピング誌もいまさら開く気もしない。 あまりに疲れていて頭がぼんやりしている上、目の焦点が合わないので本を 読む気にもなれない。 そこで、アームレストにヘッドホンを差…

ゴールドベルク変奏曲

会社支給の携帯電話が新しくなった。 こんどの携帯はFMラジオが聴けるというので、帰りの電車の中で試しにイヤホンを 差してNHK FMにチューンしたところ、バッハの音楽が流れてきた。 途中からだったけれど、すぐに曲名はわかった。 ゴールドベルク変奏曲だ…

吉田拓郎と中島みゆき

この秋、つま恋で「吉田拓郎&かぐや姫in2006」なるライブコンサートが行われ、 その中継がNHKで流れたのを知っていますか? 僕もこれを見た。 自分について言えば、吉田拓郎の音楽からは遠かったし、かぐや姫の曲は彼らが 解散してから知った、というよ…

吉田秀和のこと

先ほど帰宅して夕刊を開いたら吉田秀和が文化勲章を受章した、というニュース があった。僕は勲章と名のつくものはロクなもんじゃない、と思っている人間だけど このニュースは正直嬉しかった。 僕はこの人が書く文章が大好きだから。吉田秀和はクラシック音…

音楽会

久しぶりに音楽会へ。 演奏者は一人のピアニストと二人のヴァイオリニスト。 250席ほどの小さなホール。 有名な演奏者ではないし、ごくごくローカルでintimateな音楽会。 しかし想像以上に楽しく、想像以上にこころが癒された。まず演奏されたのはピアノ独奏…