風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2020年を迎えて

4ヶ月以上このブログを放置して気がつけば2020年になっていた。 大晦日に軽いぎっくり腰をやってしまって、ほとんどリハビリの年末年始休みだったと思う。明日から仕事が始まるがいきなり東京出張も入っているし、なんだかんだで暇とは縁遠い秋から冬で、暇…

楽観を持つことが難しい

欧州から帰ってきてもう2週間が経った。日本は例年通り梅雨が明けて恐ろしいほどの暑さがやってきている。36~38℃といった暑熱地獄は子供のころはなかったように思う。どんな状況でもそれに慣れてしまうと普通になる、ということか。 世界ではアメリカと中…

明日から欧州

あっという間に大阪に帰任して3か月が過ぎた。仕事のほうはずいぶんと役割が変わった部分もあり、責任が軽くなったようでもあり、会社の中で徐々に隅に追いやられつっつある感もある。それを嫌がったり寂しがったりするようなそんな思いは少ないけれども、…

大阪でもフェルメール展を見た

大阪に帰ってきてからの日々はなんとなく落ち着かない日々で、自分が根無し草になったようなそんな気分。6年間過ごした東京のオフィスと違う環境で違う社員たちに囲まれた生活、自分のものは入っているとはいえ、今までと違う自宅の部屋、微妙に波長がずれ…

これからは大阪で。

3月29日、東京での最後の勤務を終え、壮行会をしてもらって土曜日に帰阪。これで本当に東京での仕事も生活も終止符を打った。強い、強い、終止感。終結感。悲壮感や悲しさはないけれども若干の空虚感と若干の寂しさはある。ひとつの舞台が、ひとつのスト…

らっきょうの皮を剥く猿

結局のところ、上機嫌に日々を送ること以外に人生に大切なことはないのではないか?と 最近考えるようになった。人間は哲学と思想を突き詰めることで神の存在を否定し宗教を 破壊し、科学を突き詰めることで死後の世界も臨死体験も脳内の幻想と断じ、最近で…

アラン「幸福論」より

以下引用: - ほほ笑むことや肩をすくめることは 、思いわずらっていることを遠ざける常套手段である。病気にかかった人を見たまえ。病気になることによって、自分は病気ではないかという 恐怖から、いかにたちどころにいやされてしまうことか。われわれの敵…

トルストイ「イワン・イリッチの死」

久しぶりに衝撃的な小説を読んだ。 トルストイの「イワン・イリッチの死」である。主人公のイワン・イリッチは裁判官。持ち前の頭脳と如才なさで とんとんと出世を遂げた人物で、結婚生活はうまく行っていない ものの(イワン・イリッチは口うるさい妻から逃…

いつか星屑になる

ここに書くのは2ヶ月ぶりである。 前の記事で書いた「身体表現性障害」の手足の汗や顔のほてりといった症状は 一応落ち着いており、薬も朝一回飲むだけでなんとかなっている。 しかしながら、6月中旬の欧州出張で体調はまたガタガタになって、風邪が ぶり…

仕事をやめれば良くなるのだろうか

これで抗不安薬を飲み始めて5週間になる。ここ4週間は比較的状態は安定 しつつあって、起床時の手足の汗や、顔のほてり以上の症状(耳閉感とか ひどい倦怠感とか)が起きるのは週に一回程度。 薬のお陰で日常生活を送っているという状況だ。 もっとも、会…

カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞

ひとりの読者として本当に嬉しいニュースだった。 彼の小説についてはこのブログでも何回か取り上げたが、このように 静謐でリリックでありながら深い内容の小説が正当に評価されたこと を本当に嬉しく思う。 おめでとうございます!

鳥を見ながら思うこと

ここを最後に更新したのが3月。 気がつけば7月に入っている。 この3ヶ月半は体調不良との戦いだった、という気がする。 完全に復調したとは言い切れないけれど、少なくともこうやってブログ 更新をする程度の元気は出てきた。3月18日のブログに書いた…

耳の不調

先週、今週と業績報告会と経営会議、役員会で疲労困憊していたのだが、 火曜日の夕方、経営会議の途中で左耳が詰まったような感じで(耳塞感と 呼ぶようだ)耳が聞こえにくくなった。おかしいな、と思ったがそのまま 帰宅。翌朝もまだ耳塞感が残っていて声が…

自分の中の権勢欲

ちょっとおもしろい気づきがあったのでメモしておきたい。 僕は通常東京のオフィスにいるのだが、大阪のオフィスに出張することもある ので、大阪にもデスクがある。僕のデスクのある階に人の出入りがあり、執行 役員が一人上がってくることになった。このま…

文明が衰亡するとき

高坂正堯「文明が衰亡するとき」読了。 この本の洞察の深さ、広さには恐れ入った。さすがは名著である。 本当に30年以上前に書かれた本なんだろうか。。 備忘のために一部抜書。 現在の世界において国民国家がもっとも基本的な運営単位であることも 現実であ…

マネジャーの実像(1)

このミンツバーグの本は400ページを超える大著だが、名高い本だけあって 感銘を受けることしきり。単なるリーダーシップ論、マネジメント論とは違い、 実際のマネージャー29名を密着観察してデータを取り、そこからモデル理論を 構築しようとする姿勢がすご…

グローバル自由主義の終焉

エマニュエル・トッドの「グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の 運命」を読んだ。僕にとってもっとも大きな気づきは、フランスの人権宣言に端を発しアメリカ が主導してきた自由民主主義の精神(自由、平等、同胞愛)に基づくグロー バル自由主義…

もっと柔らかく、よりしなやかに

子会社の役員としてその会社のマネジメントに関わるようになってから、 マネジメントのスタイルについて改めて考え直している。僕の部下たち への接し方、マネジメントのスタイルはここ数年で劇的に変わってきた と思うのだが、改めて今の子会社社長たちのマ…

小さく、真面目に、まっすぐに、誠実に、心を汚さずに、生きる。

今日は銀行主催のセミナーに終日参加。 会社から地下鉄ですぐだから直射日光に晒されることがなく、助かった。 企業買収とファイナンスについての講義と演習だったのだが、目が覚める ようなわかりやすい講義で、ややこしいファイナンスの考え方(DCF法やら …

「動乱」を見て

アマゾンのプライム会員なので無料でいろいろ映画がダウンロードできる。 今回、飛行機の中で見るためにダウンロードしていた1980年制作の映画「動乱」 を機中で見た。この映画を見るのは二度目だけれど感じるところがあったので 感想を記したい。この映画は…

「暁の寺」三島由紀夫より抜粋

7月初旬に出張でタイに行き4日間を過ごす。 仕事のミーティング、行事がすし詰めだけれども、せめて三島由紀夫が 「暁の寺」で描いたワット・アルンだけでも見てみたい。 以下、「暁の寺」から抜粋: 本多はきのうの朝早く、舟を雇って対岸へゆき、暁の寺…

K20ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館

欧州出張の最終日、出発便までの時間を利用してデュッセルドルフのK20美術館 に行って来た。K20は正式名称をノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館 と言うそうで、現代美術を収蔵する美術館なのだが、実はここには相当に充実 したモダンアートのコレク…

「意識はいつ生まれるのか」

ジュリオ・トノーニ「意識はいつ生まれるのか」読了。 この本は僕にとって本当に衝撃的、かつ、決定的な一冊だった。人間の意識が いかにして生まれるか、を「統合情報理論」という仮説を元に実験を積み上げて 立証した過程を丁寧に読みやすく説明した本なの…

水差しを持つ女

六本木の森アーツセンターギャラリーの「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」という展覧会を見に行ってきた。 もちろん僕のお目当てはフェルメールの「水差しを持つ女」である。 この絵はニューヨークのメトロポリタン美術館に所…

腫瘍マーカーの上昇

2月初旬の成人病検査のオプションで申し込んだ腫瘍マーカーの数値が基準値を 超えており、再検査の指示が。月曜日、午前半休を取り東京社宅近所の総合病院 へ行って診察(というか相談)をしたところ、腫瘍マーカーの数値上昇でガンで ある可能性はせいぜい…

改めて態度価値

結局、僕が人生で残せるものは周囲の人々、社会の前で示す態度だけであろうと 思う。困難や苦しみに直面した時、不安に駆り立てられた時、周囲に対してどの ような態度を取り、どう一日一日を生きるのか。 本当に人生で残せるのはそれだけなのだと、改めて病…

投資について思うこと

父の入院・危篤状態をきっかけに、母から家の財産を今後は僕に任せたい と頼まれ、全く知らなかった父母の財産の内容を見せられて仰天したのが 去年秋。自分の親が財産をこんな「リスク資産」にしているとは夢にも 思っていなかったので本当に驚いた(銀行に…

善い息子になるしかない

父が病気になり、かつ法律問題が持ち上がって母と話すことが多くなった。 これまでは1年に3回程度顔を合わせ、1ヶ月に1度程度電話で話すだけだった のに、父の治療方針について、介護の方針について、法律問題について等々、殆ど 毎日、母と電話で話して…

凸凹で生きてゆく(改めて気づいたこと)

父関連で新たな問題が浮上し、その対策にこの土日は追われていた。 今年は本当に厄年と言ってよく、実父の危篤、義父の危篤、実父のこの問題、 と次から次へと難題が持ち上がり、その全てが解決の緒も全く見えない。 僕も、仕事以外の時間の大半を現在これら…

改めて意志のオプティミズムを

物理学者の故・戸塚洋二氏の著書「がんと闘った科学者の記録」を読んで いろいろ考えさせられるところは多かった(特に来るべき死にどう向き合い 精神を保ってゆくか、であったり、がん患者が何を知りたいと思っているか といったこと、それから、それにも関…