風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

映画・TV

「動乱」を見て

アマゾンのプライム会員なので無料でいろいろ映画がダウンロードできる。 今回、飛行機の中で見るためにダウンロードしていた1980年制作の映画「動乱」 を機中で見た。この映画を見るのは二度目だけれど感じるところがあったので 感想を記したい。この映画は…

「ふしぎな岬の物語」そして「蜩ノ記」

アメリカからの帰りの飛行機の中で二本邦画を見た。 一本は「ふしぎな岬の物語」、もう一本は「蜩ノ記」。「ふしぎな岬の物語」は吉永小百合が企画・主演した映画でモントリオール 世界映画祭で審査員特別賞グランプリを受賞したという作品。 岬の先端にある…

宮崎駿の「風立ちぬ」

久しぶりに映画を見た。 スタジオジブリの「風立ちぬ」である。 わざわざチケットを予約して一人で映画館に行って見た。 つまり、それほどこの映画を見たかったのである。 映画が終わると周囲の観客はすっかり退屈していた。 左隣のカップルの若い男性は「ご…

負けて勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜

今、NHKでやっている土曜スペシャルドラマの「負けて、勝つ」を見ている。 戦後の宰相・吉田茂を描いたものだ。相当にフィクションも入っているよう だけれども、面白く引き込まれて見ている。昨夜の回は印象深かった。 独立(講和)を目指す中、朝鮮戦争が…

「濁」は呑まずに生きたいと思う。

昨夜、山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」をテレビでやっていたので見た。 前半の労働組合が主題に取り上げられていた部分は、僕たちの年代ですら激しい 労働争議を目にしなかったわけであるから、最近の人達がどう受け止めるのだろう と少々気になった。また、海…

映画「カティンの森」を見て

今の人達には想像も出来ないだろうけれど、僕が若かった時代は米ソ冷戦のまっただなか で、ある日、日本に核ミサイルが落ちてきて自分はじゅっと蒸発してしまうのでないか、 という恐怖は僕の中では現実のものとしてあった。皆が皆、そんなことを想像して暗…

能 〜 沈黙と静寂の芸術

東京での2年間で意義深かったことのひとつに、能を見たことが挙げられる。 能は僕に二つの思考の種子をくれた。 一つめは能を通して芸術における沈黙と様式の意味を考えさせられたこと。 台詞や囃子、謡があるものの、基本的に能は沈黙と静寂の芸術である。…

新宿御苑 森の薪能

生まれて初めてお能を、それも薪能という形で見ることができた。 感じること多々あり、ここに記しておきたい。 実は新宿御苑の薪能は昨年も行くつもりでチケットを買っていたのに生憎の雨で 流れてしまって泣く泣く払い戻しした、いわくつきの公演である。 …

映画「山猫」と文化資本

ルキーノ・ヴィスコンティ監督の映画「山猫」完全復元版を見た。 なんとも複雑な味わいを持つ映画である。 「この映画は○○を表している」と一言で言い切れない複雑さ。 それは僕にとっての「良い映画」の必要条件である。 映画のあらすじは複雑なものではな…

己の義

先週大河ドラマの「天地人」を見ていて上杉謙信が樋口(直江)兼継に言った言葉 がとても印象的だった。義を貫くためには人を殺めなくてはならぬこともある、 という矛盾に迷う兼継に、謙信は(概略)こんな言葉を贈ったのだ。【引用始まり】 --- お前を見て…

ミュージカル「ミス・サイゴン」

昨日、帝国劇場でミュージカル「ミス・サイゴン」を見た。 僕はミュージカルを見たのは生まれて初めてだったが、これが本当に素晴らしかった。 「これはアメリカ人が作ったオペラなのだな」というのが僕の率直な理解。 実は見る前は、アメリカのミュージカル…

「人間の自然状態」は本当か?

アニマルプラネットの「ミーアキャットの世界」がお気に入りでDVDに録画 して見ている。彼らの社会では「優位のメス」がリーダーとして血族グループ を率いる。「優位のメス」と交尾して子孫を残せるのは一番強くて体が大きい 「優位のオス」だけである。…

「有能さ」の条件

ゴールデンウィーク。 自宅に帰ってきたが、DVDと読書三昧に毎日である。 特に「バンド・オブ・ブラザース」の原作のほうを読み、DVDも数話分見た。 この作品についてはいずれ感想を書くが、登場人物の次のフレーズにインスパイア される所があり、以…

「まだそんなに老けてはいない」を見て

僕はあまりTVドラマは見ないのだけれど、山田太一のドラマには昔から興味が ある。彼の考え方や社会や人間への視線に惹かれるものがあるからだ。 そう、「とても惹かれる」と言っていいと思う。 昨夜、その山田太一脚本ということでテレビ朝日で放映された単…

「硫黄島からの手紙」

エンドロールが流れる中、僕は失望感を噛みしめていた。 期待が大きすぎたのだろうか? 心の中に浮かんでいた言葉は「既視感」だった。 「父親たちの星条旗」には感じなかった既視感。 予告編の内容から「こんな映画なのではないか」と胸の内で想像していた…

「父親たちの星条旗」

「平和を欲するなら、まず戦争を理解せよ」 著名な戦史研究家バジル・リデル・ハート卿の言葉である。 しかし我々が知っている戦争とはどんなものだろう? TVが伝えるイラク戦争の映像だろうか? そして学校で習う日本史、戦争文学や戦争映画。 せいぜいそ…

春の日は過ぎゆく

「八月のクリスマス」のホ・ジノ監督の作品、ということでこのDVDを見た。 ほんとうに久しぶりに見る恋愛映画だったけれど感じるものがいろいろあった。 見た後、ネットのあちこちに書かれているレビューを読んだけれども、僕のような 感想は見あたらなか…

ヒトラー 〜最後の12日間〜

僕がヒトラーに関心を持ったのは中学時代だった。 スナイダーの「アドルフ・ヒトラー」を読み、それから「わが闘争」を読んだ。 正直言って「わが闘争」のほうはさっぱり判らなかった。 確か高校生になって再読した時「国家社会主義」という言葉に赤線を引い…

プロフェッショナル〜仕事の流儀〜

天下のNHKの番組では「プロジェクトX」の人気が高かったけれど、僕は 実のところあまり好きではない。むしろ今やっている「プロフェッショナル 〜仕事の流儀」のほうが面白い。 もっとも、毎回見ているわけではなく、気がついたときに見る程度なのだが。 NH…

八月のクリスマス 〜 ”二階”の恋の物語

三月に亡くなった友人が「良い映画だった。ぜひ見て下さい」と言っていた 韓国映画。 先日DVDを購入して、とうとう見ることができた。 そして、彼がこの映画が気に入った理由もよくわかった。【引用始まり】 --- 小さな写真店の店主ジョンウォン(ハン・…

こうのとり、たちずさんで

数年前、ドイツとベルギーとオランダの三国の国境が交わる点を訪れたこと がある。そこは山の上の公園で、三カ国の旗が立っていた。 女性が犬を連れて散歩しているどこにでもあるヨーロッパの公園の風景。 僕は、その旗の周りをゆっくりと回ってみたた。 こ…

旅芸人の記録

夏休みを利用してテオ・アンゲロプロスの「旅芸人の記録」を見た。 普段あまり映画を見ない僕にとってギリシャ映画というのはこの作品が初めて。 しかし4時間の大作だというのに、息を詰めて一気に見てしまった。この映画、セリフが極端に少ない。ほとんど…

パドメの死

「スター・ウォーズ エピソード3」を見てきました。 特殊撮影は、これはもう凄いもので、これ以上進化することは考えられない、という レベルでした。そんな中で少し面白いテーマがあったので取り上げてみます。主人公のアナキンは愛するパドメが出産中に死…

映画バトン

minaさんから「映画バトン」を頂きました。 僕は映画はあまり見るほうではないのですが、お答えさせて頂きますね。 このブログの「映画」カテゴリに記事として書いたものは入れません。1、所有している映画の本数 数えたことはないですが10〜15本程度で…

大いなる幻影

この映画は第一次大戦のドイツ捕虜収容所からの脱出を企てる3人のフランス軍人とドイツ軍人をめぐる人間ドラマである。最初「あの『大脱走』の元ネタはこれか」とか思って見ていたのだが、途中からすぐそんな底の浅いものではないことがわかった。古典と呼…

ファンタスム −「知の論理」より

以前紹介した「知の論理」から、今日は石光康夫氏の「精神分析とファン タスム」を取り上げたい。 さて、ファンタスムとは何か? ここではファンタスムとは「ある特定の思いこみの体系」と説明されている。挙げられている例で説明してみよう。 「羊たちの沈…

「ソラリスの陽のもとに」

映画「ソラリス」。 原作はS.レムの「ソラリスの陽のもとに」というSF小説で、以前、ソ連の タルコフスキーという監督が映画化していたもののリメイクしたもの。 僕はこの原作がすごく好きで、それでこの映画に興味を持った。映画の内容は残念ながら失望…

戦場のピアニスト

「戦場のピアニスト」を昨夜TVでやっていたので見た。 いい前評判ばかり聞いていたので、大変に期待して見たのだが、 うーん、そんなに素晴らしい映画なんでしょうか。ピアニストであるシュピルマンが主人公ではあるけれども、この映画 の主題はポーランド…

イングリッシュ・ペイシェント

この映画はケーブルテレビで偶然見て、とても感動した。第二次大戦中のイタリアが舞台。 飛行機を撃ち落とされ、大やけどを負った、イギリス人の患者アル マシー。彼を看病するハナ。アルマシーを追ってきた、元泥棒の ガラバッジョ。ハナに惹かれて恋人にな…

ピアノ・レッスン

ピアノ・レッスンでホリー・ハンターが好きになった。 もちろん、映画の「ピアノ・レッスン」のことだ。 あの映画のホリー・ハンターはほんとうに素敵だった。 いっぺんにファンになってしまって、彼女の出演映画を調べてビデオ で見たりした(残念ながら他…