美術
大阪に帰ってきてからの日々はなんとなく落ち着かない日々で、自分が根無し草になったようなそんな気分。6年間過ごした東京のオフィスと違う環境で違う社員たちに囲まれた生活、自分のものは入っているとはいえ、今までと違う自宅の部屋、微妙に波長がずれ…
欧州出張の最終日、出発便までの時間を利用してデュッセルドルフのK20美術館 に行って来た。K20は正式名称をノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館 と言うそうで、現代美術を収蔵する美術館なのだが、実はここには相当に充実 したモダンアートのコレク…
六本木の森アーツセンターギャラリーの「フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち」という展覧会を見に行ってきた。 もちろん僕のお目当てはフェルメールの「水差しを持つ女」である。 この絵はニューヨークのメトロポリタン美術館に所…
上越新幹線に乗り、仕事で日帰りで新潟県十日町へ。 東京からおよそ2時間半の道のりである。 出張だったのだけれど、なんだか日帰り旅行のような楽しさのある出張だった。 だからここに記録しておきたい。越後湯沢で新幹線を降り「北越急行ほくほく線」とい…
暖かい春の日差しが降り注ぐ月曜日。 休暇を取って国立新美術館で開催されている「ルーブル美術館展」と「マグリット 展」を回ってきた。いや、計画的に2つを回ったというよりは、ルーブル美術館 展でちょっとがっかりして、口直しにと思って入った「マグリ…
もう少しウィーンの事々を続けたいと思う。 ウィーン美術というと世紀末の画家、グスタフ・クリムトが挙げられる。 特に有名な絵は「接吻」。この作品を含むクリムトの作品の多くがベルヴェ デーレ宮殿の19・20世紀美術館に展示されているということで見…
これまでに僕が見たフェルメールの作品は全部で15点。 今回のウィーンの歴史美術館訪問でもっとも楽しみにしていたのは、もちろん フェルメールの「絵画芸術」を見ることだった。これは以前の展覧会で日本に 来る予定だったのがこなくなったいわくつきの絵で…
ボストン美術館には苦い思い出がある。 過去記事「フェンウェイパークの松坂」に書いたように、3年前のボストン出張 時にボストン美術館に行きそこねている(お陰でメジャーリーグでの松坂の投球を 見ることができたのだが)。 今回、世田谷美術館にボスト…
東京ステーションギャラリーで開かれている「植田正治のつくりかた」展を 覗いてきた。写真展を見に行くのは初めてだったりする。僕が植田正治の写真と出会ったのは70年代だと思う。 当時、天体写真をやっていた僕は写真の基本技術にも興味があって、写真雑…
今回のセザンヌ展は「僕のような初心者には難しかった」というのが率直な印象だ。 いったいどこが難しかったのか? セザンヌは僕にとってミステリアスな画家である。 美術初心者の僕だが、今まで見たいろいろな画家の中で、セザンヌはとても言語化 しにくい…
4回に渡る旅行記も今回で最終回である。 - 豊島を後にして、僕たちの船は犬島に向かう。 ここには犬島アートプロジェクト「精錬所」という美術館と、直島と同様の 「家プロジェクト」がある。 犬島アートプロジェクト「精錬所」は、犬島に残る銅製錬所の遺…
地中美術館を後にして、直島の「家プロジェクト」を回った。 これは直島の民家を改装(あるいは新築)して、アート作品を展示しているものだ。 いくつか回った中で、地中美術館で印象的だったタレルの作品が収蔵されている 「南寺」が印象的だった。安藤忠雄…
次に僕が足を踏み入れた「オープン・スカイ」には息を呑んだ。 大理石の壁、床、そして天井には大きな長方形の穴がぽっかりと空いていて、青空が 見えている。ただそれだけの作品。 それがどうして僕がそれほど驚かせたのか。 たまたま雲一つない秋晴れだっ…
休みを取って以前から興味があった瀬戸内海のいくつかの美術館をめぐる旅に出た。 パックで、直島、豊島、犬島をめぐるツァーである。 幸い秋晴れで絶好の旅行日和だ。 最初に訪れたのは、直島。 岡山の南にある宇野の港から船で渡って安藤忠雄設計の地中美…
京都まで足を伸ばしてフェルメールに会いに行った。 京都市美術館で開催中の「フェルメールからのラブレター展」である。 京都市美術館の最寄り駅は地下鉄東西線の東山駅なのだが、ここから美術館までの数分 の道のりが僕は好きだ。小さな川(まぁ生活排水の…
前回の感想に引き続き、ベルリンでの絵の感想をさらに続ける。 今日のお題は「ベルリン絵画館(Gemaldegalerie)」に展示されている絵について。 この美術館はベルリンのいわゆる「博物館島」から離れたところにある。 近くにはベルリン・フィルハーモニーの…
現在、出張でドイツ・ベルリンに来ている。 昨日、夕方からの空き時間で旧ナショナルギャラリーへ足を伸ばした。 ここには、以前から見たかったアーノルド・ベックリンの「死の島」があるのだ。 実物を前にすると圧倒される。 素晴らしい絵である。 詳細に見…
秋晴れの一日、思い立って休暇を取り正倉院展と平城京跡に行ってきた。 正倉院展に行くのは2年ぶり。話題の平城京跡は初めてである。 奈良国立博物館に着いたのは朝10時頃。 平日の朝早くだから空いているだろう、という期待は空しく外れてすでに沢山の人が …
ドイツで過ごす日曜日。 出発前の計画通り、列車を乗り継いでオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館に 向かった。国際特急Thalys(フランスの超特急TGVのと同じだが深紅に塗られている) は全席指定で、座席も広くとても快適。列車はフランドルの平野を…
セザンヌに心底感動した僕の胸は、相変わらず鼓動が早いままである。 続く部屋にはロートレック、ゴッホ、ゴーギャンと豪華絢爛な名画がこれでもか、 とばかり並べられている(ゴッホが7点、ゴーギャンが9点)。 なんという至福! ゴッホの有名な「自画像…
東京出張のついでに国立新美術館の「オルセー美術館展2010」に行ってきた。 これが噂に違わぬ実に素晴らしい展覧会であった。 オルセー美術館の改装工事に伴って、門外不出の名画をアメリカ、オーストラリア 日本を巡回するという企画で、やってきた名画の多…
東京での2年間で意義深かったことのひとつに、能を見たことが挙げられる。 能は僕に二つの思考の種子をくれた。 一つめは能を通して芸術における沈黙と様式の意味を考えさせられたこと。 台詞や囃子、謡があるものの、基本的に能は沈黙と静寂の芸術である。…
平山郁夫が亡くなった、ということでNHKで、過去放送分を含め平山画伯の業績の紹介 番組を行っている。僕は平山郁夫の絵がよくわからないままここまで来ており、そういう 意味で(TVを通じてではあるが)昨日、今日と興味深く番組を見ていた。 平山郁夫の絵…
東京国立博物館で開催中の「国宝阿修羅展」に行ってきた。 人気であると聞いていたので開館直後の朝9時半過ぎに行ったところ、既に70分待ち。 その前にチケットを買うだけで15分待ったので、結局1時間半ほど並んでやっと入る ことが出来た。 いやはや、想像…
安曇野一人旅で初日にふらりと入った穂高駅にほど近い碌山美術館。 ここには早逝した彫刻家・荻原守衛(碌山)の作品が集められているのだが、 衝撃的だった。 碌山の彫刻に少しついて書いてみたい。僕は彫刻に感動を覚えたことがあまり多くはない。 ルーブ…
渋谷のBUNKAMURAザ・ミュージアムに「ピカソとクレーの生きた時代」と銘打たれた 展覧会を見に行ってきた。ドイツ・デュッセルドルフのノルトライン=ヴェストファーレン 州立美術館所蔵のK20と呼ばれる20世紀絵画のコレクションを日本に持ってきて展示 した…
大変にハードな台湾出張は金曜日で終わり、土曜日の午前中、駆け足で台北の 故宮博物院を巡ってきた。実に15年ぶりである。 故宮博物院は世界四大博物館の一つとされており、国民党が台湾に脱出した際に 持ち出した北京・紫禁城に納められていた中国王朝の…
10年ほど前、デンマークに出張したことがある。 季節は真冬でこの時の思い出は過去記事「凍りついた海」に書いたのだけれど、 この小さな港町に行く前、僕はコペンハーゲンに滞在していた。 曇り空が様々な明度の鉛色をしていて、それを映し出す海もまた空…
秋晴れの連休の中日、奈良の正倉院展を訪れた。 毎年わずか17日間しか開催されないのに加えて今回は記念の第六十回ということで 例年以上の混雑も予想されたけれど、思い切って出かけた。夕方の空いている時間帯を狙ったので幸いにして30分待ち程度で中に…
音楽にしても絵画にしても、掛け値なしに凄いものに接したときには魂が震える。 東京都美術館で開催されている「フェルメール展」はそんな感動を僕に与えて くれた。この展覧会ではフェルメールの作品7点(うち日本で初公開の作品5点)とともに フェルメー…