風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2009-01-01から1年間の記事一覧

平山郁夫の絵

平山郁夫が亡くなった、ということでNHKで、過去放送分を含め平山画伯の業績の紹介 番組を行っている。僕は平山郁夫の絵がよくわからないままここまで来ており、そういう 意味で(TVを通じてではあるが)昨日、今日と興味深く番組を見ていた。 平山郁夫の絵…

レオン・フライシャー ピアノリサイタル

昨夜、NHK教育の芸術劇場で、レオン・フライシャーのピアノリサイタルを見た。 この人は30年前に右手が病気で動かなくなり、長らく左手のための曲を演奏したり 音楽教育や指揮活動にシフトしていた人であるが、リハビリの結果、右手が完全では ないものの…

国会答弁を見て〜政治家の頭の良さ〜

飛び石連休のなか日の今日の午後、有給休暇を取った。 部屋でなんとなく手元無沙汰なので、NHKをつけたら国会の予算委員会の中継を やっていたので、少々拝見することにした。 内容はともかく、面白かったのは、答弁を通じて議員それぞれの「頭の良さ」が透…

新宿御苑 森の薪能

生まれて初めてお能を、それも薪能という形で見ることができた。 感じること多々あり、ここに記しておきたい。 実は新宿御苑の薪能は昨年も行くつもりでチケットを買っていたのに生憎の雨で 流れてしまって泣く泣く払い戻しした、いわくつきの公演である。 …

映画「山猫」と文化資本

ルキーノ・ヴィスコンティ監督の映画「山猫」完全復元版を見た。 なんとも複雑な味わいを持つ映画である。 「この映画は○○を表している」と一言で言い切れない複雑さ。 それは僕にとっての「良い映画」の必要条件である。 映画のあらすじは複雑なものではな…

政権交代の意味

自民党が下野して民主党政権が誕生してまだ数日。 新大臣たちが矢継ぎばやに命令や指示を出している。 政権が変わったのだなぁという実感がある日々である。 閣僚の記者会見や発言を聞いていて「いいなぁ」と率直に思う。 「やっと政治をまともな方向に持っ…

軽井沢・野辺山紀行(2)

旅行の二日目、カーテンを開くと快晴である。 今日は念願の野辺山宇宙電波観測所に行くのだ。 ホテルのフロントに話をして観測所まで車で送っていただく。 観測所の守衛所で入門手続きをし、お願いして荷物を預かっていただいた。 敷地に足を踏み入れると、…

軽井沢・野辺山紀行(1)

週末を利用して軽井沢と野辺山を旅してきた。 軽井沢という土地には思い入れがある。 僕が好きな作家の堀辰雄の代表作「美しい村」の舞台が軽井沢なので、以前から行っ てみたかったのだ。もちろん、小説に描かれている軽井沢は昭和初期のものであるし、 さ…

ノルウェイの森

村上春樹の本のうち、僕が手放したものは少ないのだが、その中の一つがベストセラー の「ノルウェイの森」である。一度読んでピンと来なかったのでさっさと処分してしま ったのだ。それを読み直してみようと思ったのはごく最近である。 「1Q84」を読んだこと…

村上春樹「1Q84」を読んで

「1Q84」を読了した。 いつものことであるが、僕は村上作品には圧倒される。 どこに圧倒されるのか? 村上春樹は、あらかじめ自分で語りたいものをしっかり理解していて、それを作品を 通して語っている人ではないと思う。村上は常に「自分自身よくわかって…

国立天文台 三鷹

かねてから行ってみたいと思っていた三鷹の国立天文台に思い立って出かけた。 もう長らく星を見ていないものの、僕のようなオールド天文ファンにとっては 『三鷹の東京天文台』には特別の思い入れがある。 天文学者で言えば、富田弘一郎氏、古在由秀氏、古畑…

心配するのが仕事

松下幸之助が「社長業とは心配することだ。心配して、心配して、心配するのを 生き甲斐として楽しめる人ではないと駄目だ」というようなことを言っていたと 記憶する。しかしながら、その言葉が当てはまるのは社長業だけでなく、どんな に小さくても組織の長…

国宝阿修羅展

東京国立博物館で開催中の「国宝阿修羅展」に行ってきた。 人気であると聞いていたので開館直後の朝9時半過ぎに行ったところ、既に70分待ち。 その前にチケットを買うだけで15分待ったので、結局1時間半ほど並んでやっと入る ことが出来た。 いやはや、想像…

グスタフ・レオンハルト チェンバロリサイタル

雨の中、第一生命ホールでのレオンハルトのチェンバロリサイタルに行ってきた。 レオンハルトは今年81歳になるチェンバロの巨匠、学者肌でマスコミに距離を置く 孤高の巨匠として知られる演奏家である。リサイタルで演奏された曲はどれも僕の知らない曲(恐…

荻原碌山の彫刻

安曇野一人旅で初日にふらりと入った穂高駅にほど近い碌山美術館。 ここには早逝した彫刻家・荻原守衛(碌山)の作品が集められているのだが、 衝撃的だった。 碌山の彫刻に少しついて書いてみたい。僕は彫刻に感動を覚えたことがあまり多くはない。 ルーブ…

クレーの絵を見て

渋谷のBUNKAMURAザ・ミュージアムに「ピカソとクレーの生きた時代」と銘打たれた 展覧会を見に行ってきた。ドイツ・デュッセルドルフのノルトライン=ヴェストファーレン 州立美術館所蔵のK20と呼ばれる20世紀絵画のコレクションを日本に持ってきて展示 した…

己の義

先週大河ドラマの「天地人」を見ていて上杉謙信が樋口(直江)兼継に言った言葉 がとても印象的だった。義を貫くためには人を殺めなくてはならぬこともある、 という矛盾に迷う兼継に、謙信は(概略)こんな言葉を贈ったのだ。【引用始まり】 --- お前を見て…

台北・故宮博物院

大変にハードな台湾出張は金曜日で終わり、土曜日の午前中、駆け足で台北の 故宮博物院を巡ってきた。実に15年ぶりである。 故宮博物院は世界四大博物館の一つとされており、国民党が台湾に脱出した際に 持ち出した北京・紫禁城に納められていた中国王朝の…

池上實相寺・サロンコンサート

池上實相寺で行われた寺神戸亮氏のサロンコンサートに行ってきた。 實相寺は池上梅園に隣接してある古刹であるが、この一角にしつらえられた 寺子屋と呼ばれる小スペースでのコンサートである。 訪れてみてあっと思ったのは、この寺子屋、ステージにあたる部…

三島由紀夫「暁の寺」

三島由紀夫「豊饒の海」シリーズ第三巻「暁の寺」読了。 うーん、という感じである。 正直言うとタイとインドの精緻な風景描写以上の何かが残ったか、というと否である。 唯識思想について入れ込んだ説明がなされたり、インドで起きた本多の心の 大きな転換…

三島由紀夫「奔馬」

三島由紀夫の「豊饒の海」第二部「奔馬」読了。 相変わらずの絢爛豪華な文体と緻密かつ精密な描写である。 この小説では主人公・勲の裁判においての本多の思いが非常に興味深かった。【引用始まり】 --- もし勲が計画通りに決行し、自刃していたとしたら、彼…