風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

自分の中の権勢欲

ちょっとおもしろい気づきがあったのでメモしておきたい。
僕は通常東京のオフィスにいるのだが、大阪のオフィスに出張することもある
ので、大阪にもデスクがある。僕のデスクのある階に人の出入りがあり、執行
役員が一人上がってくることになった。このままでは今後この階に常駐する
彼のデスクを入れるスペースがない。
僕は「いいですよ。僕は出張で時々しか来ないし来てもデスクに座っている
時間はしれてるから、僕のデスクを使って下さい。僕はこれからは出張者用
デスクを使いますから」と執行役員の彼に言った。
彼は大喜びで(ホクホク顔で)そうさせて頂きます、と了承した。

その時、僕はたいして考えず何も感じることなく、ごく自然にそう言ったのだ。
もちろんそれがごく合理的なこと、という気持ちもあったし、今もある。
しかしながら、昨朝、僕の心の底に「不快感」が沈殿していることに気づいた。
すぐにはその不快感の原因がわからなかったのだが、掘り下げるうちに原因は
執行役員に自分の席を譲らざるを得なくなったこと」であることに気づき、
僕は仰天した。『取締役の俺が、何で執行役員風情に席を譲ってやらんといか
んのだ』という僕の大嫌いな威張り散らすオヤジが言いそうなことが、僕の
この不快感の原因なのである、苦笑。

僕は極めて地位や権力に対して淡白な人間だと思う。
他人に対して威張り散らして権威をひけらかすことが何より大嫌いだ。
これは自己分析というより、過去は家族や上司の分析であり、直近では僕を
よく知る(もう会社を去った)先輩たちの分析でもある。
そんな僕でも、たかが出張の時のデスク一つのような下らない事で、そんな風
に感じるのか!
僕の心って、なんて狭く醜いものだろう!

僕の中には、やはり隠れた強い権勢欲や威張りたい欲があるのだ。
それは表面上は隠されているだけで、地球の核のように明らかに存在する。
これから3年後、僕は取締役を退くことになるが、このステップダウンの時、
僕はどれほど不快に感じるのだろうか?
これまで下がったことがない会社人生で、初めて「降りる」ことになるわけ
だけれど、このくだらない「デスク問題」がヒントをくれたように思う。