風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

中国へ

あまりにも、あまりにも膨大な量の水。
これが本当に川なのか?
僕は度肝を抜かれてただ立ち尽くしていた。

もう15年も前になるだろうか、僕は初めて中国に出張した。
当時、製鉄会社の人達と共に上海、北京、大連、哈爾浜などの都市を巡ったのだけれど、
最初に僕たちは上海で、長江の川岸にある製鉄所を訪れた。
いろいろなことが印象深かったけれど、もっとも鮮明に記憶に残っているのは、川岸の
埠頭に立った時の光景。向こう岸が見えず、ただ泥色の水が延々と広がり、音もなく
膨大な水が流れているその光景に僕はただただ圧倒された。
これは今でも鮮烈に思い出す情景だ。

15年前の中国の記憶をアトランダムに想起してみる。
・道路を埋める自転車と自動車。血を流した人が事故車のボンネットの上に横たわり
 回りでは激しい口論がなされている(バス車中から見た光景)
・「昨年一年のけが人:○百人」と書かれたある工場の掲示板と安全管理も何もない
 恐ろしく危険で非効率な製造現場の様子
ソビエトの軍用機を改造した恐ろしく乗り心地の悪い旅客機で国内移動した際に、
 機内食として出たのが「三笠まんじゅう」と「キュウリのキュウちゃん」だった
 こと。どうしてよいかわからず、周囲を見ると中国人乗客は平然と三笠まんじゅう
 を食べ同時にキュウリのキュウちゃんをばりばりと頬張っていた。
・哈爾浜郊外の夕闇のポプラ並木。ドイツ北部を想起させるような景色を見ながら
 この地域にかつて日本が関東軍を派遣し満州国として支配していたことを思った。

4月1日から一週間、僕は上海に出張する。
15年前の中国はまだ資本主義的路線をはっきり取るまでには至っておらず(それ
でも中国政府は外資の導入にも積極的だったし、すでに国営企業も民間的な方向に
乗り換えようとしはじめていたが)まだまだ「恐ろしく違った国」だった、という
のが僕の相対的な印象だ。今も沿岸部以外は昔とあまり変わっていない、とは聞く
けれど、上海を含む沿岸部は大きく変わったと聞いている。
いったいどれほど変わったのだろう。

正直に言うと僕自身の中国への興味は薄い。
しかし、ビジネスの関係では好き嫌いだけでは物事は決められない。
しっかり見て、しっかり考え、しっかり判断を下す必要がある。
フライトはもう予約したし、ガイドブックも昨日買ってきた。
少し自分の興味を駆り立てるような工夫をしなくてはなるまい。