マネジャーの実像(1)
このミンツバーグの本は400ページを超える大著だが、名高い本だけあって
感銘を受けることしきり。単なるリーダーシップ論、マネジメント論とは違い、
実際のマネージャー29名を密着観察してデータを取り、そこからモデル理論を
構築しようとする姿勢がすごい。
そしてこの29名のマネジャー(有名企業のCEOからNGOの現場マネジャーまで
多岐に渡る人々)が僕と同様に「膨大な量の仕事に追いまくられ、いっとき
も心が休まらない」ことを知って少々ほっとした。ミンツバーグ先生によれば、
それはマネージャーの仕事の「ごく一般的な特徴」だそうだ。
以下、一部抜粋する。
なぜマネジャーは膨大な料の仕事に追いまくられる羽目になるのか。
理由の一つは、マネジメントという仕事に、その性格上「終わりがない」
ことにある。組織の成功に責任を負う存在であるマネージャーは、どの
時点で仕事をおしまいにして「よし、業務完了!」と言えばいいのか。
目に見えるゴールラインなどない。
マネジメントとは、永遠に、一時たりとも開放されることのない仕事
なのだ。マネジャーに仕事を忘れる自由はなく、仕事を全て片付けた
という開放感はたとえ一時的にでも味わえない。
過酷なペース、細切れの仕事、守備範囲の広さ、頻繁な中断、行動志向
の強さ、口頭のコミュニケーションの重視、ヨコの関係の重要性、主導権
を握りづらい状況で主導権をある程度確保するための苦心−こうした要素
がマネジメントという仕事の特徴である。
考えることは重たいので、考えてばかりいると、マネジャーが押しつぶ
されかねない。一方、行動することは軽いので、行動ばかりしていると、
マネジャーは腰が座らなくなりかねない。
マネジャーがリーダーシップを過剰に発揮すると、マネジメントの
中身が空疎になり、目的や枠組み、行動が乏しくなるおそれがある。
マネジャーが外部との関わりを重んじすぎると、マネジメントが組織
内の土台と切り離されて、実際に人と関わることにより、上っ面の
PR戦術が偏重されるおそれがある。コミュニケーションを取ることしか
しないマネジャーは、なにごとも成し遂げられない。行動することしか
しないマネジャーは、すべてを一人でおこなう羽目になる。ひたすら
コントロールばかりしているマネジャーは、イエスマンとイエスウー
マンだけの空っぽな集団をコントロールする結果になる。
ここまでのところ、全く同感&納得である。
少しずつ読む予定であるが読了が楽しみだ。
- 作者: ヘンリー・ミンツバーグ,池村千秋
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 単行本
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