風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

「進撃の巨人」:描かれた選択

「進撃の巨人」は不思議な漫画で、何度も読み返してしまう。 昨夜、会社の若手社員男女数名をご馳走したのだが、そこでもこの作品が 話題になり、某総合職女子は「巨人との戦いというより人間を描いている 漫画なんですよね」と言っていた。 そこでふと、僕…

永遠の豊穣

日記帳に書いている通り、実父の危機的状況の下、いろいろなことを考えている。 昨夜は母と長い間電話で話をして、仮にまた誤嚥性肺炎を起こしてももう気管挿管 はしないで静かに看取ることを確認し合った。 今のこの時間は本人と家族に対して神様がくれたわ…

OB会で思ったこと

先日、大学時代のサークルのOB会に行ってきた。 懐かしい顔、顔、顔。 しかしながら、率直に言って前回のOB会に比べて楽しめなかった。 何故だろう?と思ってあれこれ考えて思い当たった。 今は微妙な時期であり、その点で僕と他のひとたちに違いがあったか…

進撃の巨人

「進撃の巨人」にハマってしまった。 先日から今までに出ている単行本16冊をあっという間に読破。 コミックにハマったのは「北斗の拳」以来ではないだろうか。巷で言われているように、この作者は実に絵が下手である。 第1巻を読みだした頃、登場人物の描…

このサイトの意味

本家と言いつつこのサイトを6月、7月と放置していたが3ヶ月ぶりに記事を アップしたい。最近、ずっと自分の人生と死について考えていた。 そのあたりについて一度まとめてみたい。1ヶ月前、父が入院し手術をした。 肺炎を起こしたりして予後が危ぶまれた…

新潟・十日町へ

上越新幹線に乗り、仕事で日帰りで新潟県十日町へ。 東京からおよそ2時間半の道のりである。 出張だったのだけれど、なんだか日帰り旅行のような楽しさのある出張だった。 だからここに記録しておきたい。越後湯沢で新幹線を降り「北越急行ほくほく線」とい…

クリストフ・コッホ「意識をめぐる冒険」

ここ1年ほど、死んだら自分の意識はどうなるのか知りたいという思い にかられ、臨死体験、死後の世界、脳科学の本をあれこれと読んできた。 死ぬと僕の魂だけは別の世界(死後の世界)に飛んでゆくのか? それとも何もない無になるだけなのか?死ぬと今生の…

東京暮らし雑感

東京で暮らしていて、何度も何度も痛感すること。 それは「大阪なんて所詮大きめの地方都市にすぎない」ということだ。 東京はやっぱり日本の首都だけあって、全てがある。 恐ろしく安くてジャンクなものから、恐ろしく高級で最高の品質のものまで。 その幅…

「ルーブル美術館展」と「マグリット展」

暖かい春の日差しが降り注ぐ月曜日。 休暇を取って国立新美術館で開催されている「ルーブル美術館展」と「マグリット 展」を回ってきた。いや、計画的に2つを回ったというよりは、ルーブル美術館 展でちょっとがっかりして、口直しにと思って入った「マグリ…

思想の有用性について

ここ10年程の自分を顧みると数年おきに転職してきたようなもんだな、と思う。 それも同じ業務でもって別の会社に転職したのではなくて、まったく違う職種 の仕事に転職し続けてきた、という感覚だ。スポーツに例えると、営業管理職だった時代はチームのキ…

結婚披露宴で思ったこと

昨日は部下の結婚披露宴に出席。 社内結婚なので会社の人間が多数参列し、僕は乾杯の音頭を取った。 もっとも部下といっても新郎新婦ともこれまでほとんど口をきいたことの ない部下で、遠い別世界の出来事感がある。 披露宴に出るたびに、部下一人ひとりに…

「ふしぎな岬の物語」そして「蜩ノ記」

アメリカからの帰りの飛行機の中で二本邦画を見た。 一本は「ふしぎな岬の物語」、もう一本は「蜩ノ記」。「ふしぎな岬の物語」は吉永小百合が企画・主演した映画でモントリオール 世界映画祭で審査員特別賞グランプリを受賞したという作品。 岬の先端にある…

シカゴの休日

仕事が順調に進み昨日でシカゴでの仕事は終わり。今日は当初予定して いなかった休日となる。幸いにして昨夜9時間爆睡できたため時差ボケ も感じず、天気も快晴で、気温も氷点下2℃と暖かい。 これは外出せねばなるまい。 ホテルを出てシカゴのメインストリ…

潜在意識の力を借りて

自分を作り直そう、一からやり直そうと決意してから、メンタル・トレーニングの 本を読んでいる。今までも興味がなかったわけではないけれど、実際に本を手に 取ることはなかった。しかし、本質的な出直しには自分を深いレベルから変える しかないと思い、メ…

ウィーン高射砲塔(ウィーンにて④)

ウィーンのホテルから取引先のオフィスに向かう途中、奇妙な四角い建物 が見えた。あれは何ですか?と尋ねたところ、彼らは「第二次世界大戦中に 作られたBunker(掩体壕)だ」と言うのだが、見た瞬間、僕はこれがあの 「ウィーン高射砲塔」だ、と直感した。…

19・20世紀美術館(ウィーンにて③)

もう少しウィーンの事々を続けたいと思う。 ウィーン美術というと世紀末の画家、グスタフ・クリムトが挙げられる。 特に有名な絵は「接吻」。この作品を含むクリムトの作品の多くがベルヴェ デーレ宮殿の19・20世紀美術館に展示されているということで見…

ウィーン歴史美術館(ウィーンにて②)

これまでに僕が見たフェルメールの作品は全部で15点。 今回のウィーンの歴史美術館訪問でもっとも楽しみにしていたのは、もちろん フェルメールの「絵画芸術」を見ることだった。これは以前の展覧会で日本に 来る予定だったのがこなくなったいわくつきの絵で…

色褪せてゆく事々(ウィーンにて①)

海外出張中でウィーンで週末を過ごしている。 僕がウィーンに初めて訪れたのは確か1998年。取引先の人たちと同行で 一泊二日程度の駆け足で過ごしたのだが、その時「ああ、この街は素敵だ。 いつかきっとまた訪れよう」と痛切に思ったことを覚えている。 街…

生活をシンプルに(複雑さを受け止めることを部分的に断念することについて)

愛読しているブログが2つあって、ひとつはベンチャー企業の研究者のブログ。 ひたすら食べたものと変化の少ない日々(天候、飼い猫、および読んだ本)に ついて、短く書いているものだが、この人がいかにシンプルですっきりした生活 を求めてそれを実行して…

ヨーロッパ出張の楽しみ

9月早々、ヨーロッパ出張がある。 期間は2週間以上で、ドイツ、オーストリア、デンマーク、イギリス、 アイルランドを巡る長い旅だ。僕のこれまでの出張は余裕がない仕事 中心のものが多かったけれど、今回は我儘を言って意識的に自分の楽しみ を盛り込ん…

落ち込んで気づいたこと。

このお盆休みは自宅に帰ってきたのだが、体調も悪く気持ちも随分 落ちて(落ち込んで)いた。これだけ落ち込んだのは久しぶりだ。 なので、この休みはテレビをぼぉっと見ることと、本をほんの少し読む 以外、何もできなかった。 こうやって自宅で文章を書い…

僕の宝物(5)

仕事で使う筆記用具、ボールペン。 海外取引先とのAgreement(契約書)などの重要書類にサインするボールペンは 最近ではParker 5th GenerationのSonnetを使っているけれど、普段、モレスキン のノートに書くボールペンは、三菱鉛筆のuni-ball PROTECHに決め…

ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展

ボストン美術館には苦い思い出がある。 過去記事「フェンウェイパークの松坂」に書いたように、3年前のボストン出張 時にボストン美術館に行きそこねている(お陰でメジャーリーグでの松坂の投球を 見ることができたのだが)。 今回、世田谷美術館にボスト…

まるで軍人のように

会社の歓送迎会。 転勤してきた人、新入社員、去っていく人たちのための会。 乾杯の音頭を取りながら、なんとも言いがたい思いが胸をよぎる。思えば長い長い間、この世界で働いてきたなぁという思い。 自分が、本当にビジネスに向いている、商売が好き、金儲…

何もかも一新する

何もかもを一新しようと試みている。 PCの壁紙、スクリーンセーバー、ミネラルウォーターの銘柄、iPhoneの壁紙 から机に飾る絵、椅子の高さからコロンをつけるかどうかなどの生活の細々と した習慣などなど。昔は、ひとは人生に仕組みとして組み込まれたイニ…

村上春樹「女のいない男たち」(6)「女のいない男たち」

第六話はこの本のタイトルに対応する「表題作」として書いた、と村上自身が 語っている「女のいない男たち」。 これは率直に言って軽い作品だ。 この短篇集がひとつの曲集だとすれば、聴かせどころがすべて終わったあとで しめくくりに置かれた小品のような…

村上春樹「女のいない男たち」(5)「木野」

第五話「木野」。 村上自身が「これは僕にとっては仕上げるのがとてもむずかしい小説だった。 何度も何度も細かく書き直した。ほかのものはだいたいすらすらと書けたの だけれど」と語っている通り、一番の力作であることは確かだ。 僕にとって一番好きな作…

村上春樹「女のいない男たち」(4)「シェエラザード」

第四話の「シェエラザード」。 この物語の空気感はとても不思議で、僕はこの物語が今回の短篇集で 一番好きだ。何らかの理由で「ハウス」に身を隠すことになった「羽原」のもとに 女が週2回のペースでやってくる。彼女はスーパーで食品を買って 持参すると…

村上春樹「女のいない男たち」(3)「独立器官」

今日は第三話の「独立器官」 52歳の独身医師の渡会は、結婚して家庭を持つことは望まず、女性たちと 軽い関係を持ち続けることをモットーとして生きていた。ミラン・クンデラの 「存在の耐えられない軽さ」の主人公トマーシュ医師と通じるもののある キャ…

村上春樹「女のいない男たち」(2)「イエスタデイ」

前回の続きで「女のいない男たち」の感想を書いてゆく。 今日は第二話「イエスタデイ」だが、この話が僕には一番軽く読めた。 関東生まれで関東育ちにも関わらず完璧な関西弁を話す「木樽」とその美しい ガールフレンドである「えりか」と「僕」の20歳の時…