風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

OB会で思ったこと

先日、大学時代のサークルのOB会に行ってきた。
懐かしい顔、顔、顔。
しかしながら、率直に言って前回のOB会に比べて楽しめなかった。
何故だろう?と思ってあれこれ考えて思い当たった。
今は微妙な時期であり、その点で僕と他のひとたちに違いがあったからだ、と。

前回のOB会(3年前)は、僕も他のひとたちと共通の部分があった。
僕はまだ他のひとたち同様「社員」だったのだ。
それに他のひとたちにしても「定年」はまだ先で切実なものとしては受け止め
られてはおらず、今、取り組んでいる仕事についても話の花が咲いた。
また定年後の人生については、同じようなスタンス、同じような距離感で話が
出来、それゆえに会話も弾んだ。
しかし、今回、僕の先輩たちや同級生は実際に「定年」が目の前に迫りつつある
歳に近づいてきた。彼らの中では「仕事」は既に「終わりつつある事柄」であり、
足は既にブレーキに乗っているどころか、もう十分に踏み込んで減速しつつある。
当然ながら話題の中心は「定年を迎えたらどうする」という具体的な話になる。
実際、既に再来月に定年まで数年を残して早期退職を決めてあとは悠々と趣味に
生きる、という先輩もいた。再就職をするかどうか今、迷っているひともいる。
既に早期退職を選び、大学で非常勤として教鞭をとっているがあと少しでその
任期も終わるひともいる。
いずれにせよ、僕の回りのひとたちは皆、第一の人生の最終ゴールを見据えて
シフトダウンし、残りの会社員人生は流しにかかっていて、第二の人生のほうに
完全に頭を切り替えている。

一方、3年前社員だった僕は、今は経営者だ。
日々追い詰められ緊迫した状況で仕事をせざるを得ない状況にあるし、頭の中の
90%は仕事だ。
今は残念ながら「仕事を流す」ことは許されないし、出来ないのだ。
だから「僕が興味があること」と「彼らの関心」は一致しない。
なおかつ「僕が話したいこと」「僕が聞いてほしいこと」は彼らにとっては、
もはや「どうでもいいこと」なのである。

そんなわけで、ちょっと寂しく感じながら僕は会場を後にした。
僕は結果的に話したいことを話せる相手を見つけられなかった。
まぁいい。
次回はまだ無理かもしれないが、次々回ぐらいなら僕もシフトダウンして彼らと
同じ話題を、同じ立場において話せるだろう。
単に、僕と彼らとでは、第二の人生のスタートポイントが前後しているだけの
ことなのだから。