風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2005-01-01から1年間の記事一覧

The Hubble Atlas of galaxies 〜 僕の宝物(1)

誰にでも、自分にとって特別の意味のあるもの、大切なものがある。 他の人からみたら「何、それ?」というようなものかもしれないが、僕に とっては「大切なもの(宝物)」のいくつかについて書いてみたいと思う。 今日はもう随分昔に個人輸入した「The Hubb…

何に勝つ?

僕はサッカー観戦が好きなのだけれど、選手のコメントを読むのも好きだ。 カメラを前にしてのコメントであり、タテマエ的になる傾向はあるにせよ、 彼らのHPでの発言や、インタビューや、そういうものを読むと、単なる 表向きのタテマエではなく彼らの本心…

子守歌

書店のBGMで聴き覚えのあるピアノ曲が流れてきた。 「この曲は・・・」 胸に何かが突き刺さり、僕は宙を見つめる。ガブリエル・フォーレの組曲「ドリー」の第一曲「子守歌」。 セコンドの奏でる子守歌のさざ波のような音型に乗って、プリモがユニゾンで …

自分を取り戻すために

自分の記事を読み返すと気に入らないことがある。 気に入らなければアップしなければいいのだが、そこはそれ、書いた時はそう悪くない じゃん、とか、鋭いイイこと書いてるじゃん、と思っているのでついアップしてしまうのだ。 ところが、後で読んで、がっく…

ねむれ巴里

金子光晴の「ねむれ巴里」を読んだ。 たいへん面白かったけれど、最終的に著者は僕とは違う種類の人だなぁということばかり頭に残った一冊だった。 これは金子光晴の自伝の一部であり、妻・森三千代とともに極貧・困窮の極みの中でのたうち回っていた1920年…

記憶、そして幻の情景

「ね、あの時、私がどんな服を着てたか覚えてる?一緒に何を食べたかは?」 いつも君は細かくあれこれと僕にたずねる。 「んー、ごめん。全然覚えてない。なんにも覚えてないよ」 君は大きな目をさらに見開いて、呆れた様子で僕を睨む。 「ほーんとに、何も…

ポジショントークは正しくないか

もう10年以上前だろうか、僕はある自動車メーカーの工場の人と打ち合わせをしていた。 その人は五十過ぎだっただろうか、打ち合わせ後の雑談の中で、 「とにかくねぇ、合理化しないといけないんですよ。人を減らさなきゃ」 と盛んに言っていた。僕は変な気が…

恋について - 断章

恋愛について何か書きたいな、と思った。 しかし、どうもうまくまとまらない。 そういう世界から離れて久しい僕には、書くのがもはや難しいのかもしれない。恋は「炎」のようなものだと思っている。 炎には実体があるように思えるが、可燃性物質が酸素と結合…

旅芸人の記録

夏休みを利用してテオ・アンゲロプロスの「旅芸人の記録」を見た。 普段あまり映画を見ない僕にとってギリシャ映画というのはこの作品が初めて。 しかし4時間の大作だというのに、息を詰めて一気に見てしまった。この映画、セリフが極端に少ない。ほとんど…

高野の旅(雑感)

高野山へ行ってきました。 とても良い旅でした。 写真を沢山撮ったので、こちらではなくPhoto Albumにて何日にもわけて少しずつ アップしてゆきたいと思います。 ここでは雑感を少々。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 標…

パドメの死

「スター・ウォーズ エピソード3」を見てきました。 特殊撮影は、これはもう凄いもので、これ以上進化することは考えられない、という レベルでした。そんな中で少し面白いテーマがあったので取り上げてみます。主人公のアナキンは愛するパドメが出産中に死…

悲しき熱帯

昔の話だけれど構造主義に関心を持っていた時期があった。 今考えればこれには理由があって、当時ホログラフィやフーリエ解析のコンセプトに 興味を持っていた上に(当時ブームになりかかった)ライアル・ワトソンやフルシ チョフ・カプラらのホーリズムにも…

時は過ぎゆく - ブログの寿命

ブログ4年寿命説というのがあるそうだが、日記サイトに関しては1年ぐらいが平均 寿命じゃないか、というのが実感だ。僕がここで文章を書き始めたのが昨年1月なので かれこれ1年半ちょっとになるのだが、あれから多くの方がサイトを畳んでいる。畳まれる…

知の愛好者

ここのところ出張続きで再び消耗気味。 ホテルの部屋でPCに向かう元気もない夜は、寝転がって軽い本を読むのが精一杯だ。 そんな中、ブックオフで何気なく買ったのが五木寛之の「知の休日」という本。これは 軽い読み物なのだけれど中に面白い一節があった…

ハーフパンツ

「半ズボン」がもうちょっと長くなったようなものですね。 これ、何枚か持っていたのだけれど部屋着としてしか使っていなかった。 それを、昨日、外に着て出てみました。なぁんだ、それがどうしたの?と言われるようなことですが、僕にしてみたら脛を出して …

映画バトン

minaさんから「映画バトン」を頂きました。 僕は映画はあまり見るほうではないのですが、お答えさせて頂きますね。 このブログの「映画」カテゴリに記事として書いたものは入れません。1、所有している映画の本数 数えたことはないですが10〜15本程度で…

北極星を見失っていないか

自分が最近、社会全般についての反応が鈍くなっているのを感じる。 以前はいろいろな社会事象について自分の意見をもっと明確に持っていた。 例えばグローバライゼーションの中で日本の社会はどうあるべきか。 教育についてどう考えるか。 企業はどうあるべ…

ジャングルと平原の上を

少年時代の僕は密かな楽しみを持っていた。 それは一人で裏山を歩き回ること。 裏山は僕にとって、山脈であり平原でありジャングルだった。土の地面があったら見てください。 雑草や石があるでしょう? 少年の頃、僕の頭の中ではそれらは大きな木々や岩だっ…

自殺社会

しばらく前からひどく体調が悪い。 出張から帰った翌日などひどい倦怠感で体中に重りをぶら下げているよう。 普通に道を歩くのでさえ苦痛だ。 加えて胃痛がどうにもひどくなり、とうとう病院に行った。 診断は「ストレスと過労からくる胃炎」とのこと。無理…

吉田一穂のこと

正直に告白するけれど、僕は詩にはとても疎くて、うまく味わうことも感じることも できていない、と思う。 それでも吉田一穂の詩を初めて読んだ時は衝撃を受けた。表現というのはここまで研ぎ澄ますことができるものか、という思い。 たとえばショパンのエチ…

英語と思考(3)

紗々美さんの呼びかけに応じて始めた「Schoolyards to Skylines」の翻訳をしていて 改めて思ったのは、翻訳作業の本質的な難しさは「英語を読んで意味を理解する」 ところにあるのではなく「読みとった概念を適切な日本語にすること」だということだ。今回頂…

沖縄紀行(3) 一人旅は音楽のようだ

今回の旅行は僕がこれまでにほとんどしたことのない一人旅に挑戦したわけだけれど、 一つ気がついたことがある。一人旅をすることは、音楽を聴くことに似ている、という ことだ。一人旅はもっと寂しいかと思っていた。これまでの一人での出張がそうであった…

沖縄紀行(2)−戦争について考える−

日曜日、レンタカーを借りて「ひめゆりの塔」に向かう。 壕の跡がありそのすぐ背後に慰霊碑がある。 壕をのぞき込んでみると底がみえないほど深くて暗い。 こんなところに隠れて死の恐怖におびえながら、いや自分の死を確信しながら息を 潜めるのはどんなに…

田口ランディさんのブログの記事

「ひめゆりの塔の入試問題について考える」 に非常に感銘を受けました。 特に最後の10行は、ランディさんにまったく同感です。 http://blog.ameba.jp/randy/archives/001034.html

沖縄紀行(1)−石の文明−

いい天気の土曜日の旅立ち。 ジャンボジェットの座席番号1に初めて座る。 一番前は一人席なので、隣に気を使う必要がなくてとてもいい。 ANAの機内食は非常に美味しかった。これまで食べたあらゆる機内食でもベストといっていい。あいにく那覇は曇りで、今…

無償の愛?

この記事は葵さんの記事「無償の愛 支配の愛」からのトラックバックです。 この記事で葵さんは、無償の愛は見返りを期待しないが そのまま支配の愛へ移項する可能性があるってことじゃ。対象に無償の愛を注ぎ続けながら 常に自分のコントロール下に相手を置…

ミュージック・バトン

minaさんから回ってきたミュージック・バトン。 これは海外発祥で、受け取ったら答えて次の5人に回す、というところで「不幸の手紙」 を連想する人もいるかもしれないけれど、決してそういう趣旨のものではなく、たんなる ゲーム感覚でネットで広まったもの…

南国の誘惑

最近、仕事が忙しくて本を読むのがいささか億劫になっている。 帰宅しても、もうエネルギーが残っていないのだ。 で、軽い読み物をと思って池澤夏樹の「インパラは転ばない」を読んでいたら こういうくだりにぶつかった。 われわれが住んでいる温帯圏では、…

母の手紙

母から僕あてに宅急便が届いた。 開けてみると、沢山のびわとオレンジと手紙が入っていた 手紙には、自分たちは元気でやっていること、父は読書と家事で忙しいこと、自分は 仕事を相変わらず続けていてひどく忙しいことが書いてあって、さらにこういう文章 …

逃げていく街(2)

以前記事で取り上げた山田太一の「逃げていく街」。 この本、とても面白いので再び取り上げる。 この本についてはまだ書きたいし、この記事も最後ではない。 渥美清と沢村貞子の生き方(死に様)についての一節。 おふたり(渥美清と沢村貞子)の死を知り、…