風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

ジャングルと平原の上を

少年時代の僕は密かな楽しみを持っていた。
それは一人で裏山を歩き回ること。
裏山は僕にとって、山脈であり平原でありジャングルだった。

土の地面があったら見てください。
雑草や石があるでしょう?
少年の頃、僕の頭の中ではそれらは大きな木々や岩だった。
草むらはジャングル、土の地面にまばらに雑草が生えているところは平原で、砂が多いところは砂漠地帯なのだ。

足もとを見ながら裏山をずんずん歩くとき、僕は低空飛行をしている飛行機のパイロットになる。木々の梢をかすめ、岩山を横に見ながら飛んでゆく。
眼下に見えるのはまだ見ぬアフリカの大地!
ああ、、今でもあの胸の高鳴りを思い出せるのだ。

そうやって地面や草木を見ながら歩いていると何時間でも過ごすことができた。両親はずいぶん変わったところのある子供だ、と心配したらしい(今でも変わったところのある大人かもしれないけれど)。 でも本当に楽しかったのです。

デジカメを手にして歩くとき、再び僕は少年になる。
花壇の上を、土の斜面を、僕はパイロットになって歩く。
雑草の木々の間からキリンの首が顔を覗かせ、岩山の陰にはライオンが潜んでいるような、今でもそんな気持ちになるのです。

スロットルを開くと飛行機のプロペラ音は高くなる。
さあ、操縦桿を前に倒して低空飛行だ!