風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

沖縄紀行(1)−石の文明−

いい天気の土曜日の旅立ち。
ジャンボジェットの座席番号1に初めて座る。
一番前は一人席なので、隣に気を使う必要がなくてとてもいい。
ANA機内食は非常に美味しかった。これまで食べたあらゆる機内食でもベストといっていい。

あいにく那覇は曇りで、今にも雨が降り出しそうな雲行き。
蒸し暑くて潮の香りがする。
ホテルにチェックインしてから、さっそく首里城へ。
琉球石灰岩の白と黒ずんだ汚れと建物の朱の取り合わせが美しい。
特に城壁は見事で、直線ではなく美しいカーブを描いている。

相変わらずの曇り空だけれど、僕は石の造形や亜熱帯の植物に目を奪われている。ガジュマルやアカギの大木、ハイビスカスやオオゴチョウの花など。建物の作りや色使いをみていると、琉球王朝は明らかに日本とは一線を隠した独立した文化であったことがわかる。
王家の墓である玉陵(たまうどぅん)をみてさらにその感を強くした。
もう夕方で薄暗く雨が降ってきそうだったこともあったのだろうが、首里城にはたくさんいた観光客もここには誰もおらず僕ひとりだった。
しかし、ここを訪ねたのは正解だった。

僕は玉陵に圧倒された。
夕闇迫る重い雲の垂れ込めた空の下の玉陵はすごい量感で僕に迫ってきた。
まるでここが日本ではなく、中米のアステカ王国マヤ文明の遺跡だと錯覚しそうになるぐらいに。
琉球文明は石の文明だ。
玉陵から伝わってくるものは、本土の文化と根本的に異質だった。

歩き疲れた僕はタクシーを拾い、牧志第一公設市場へ向かった。
本通りを歩いているとさとうきびジュース、というのが売っていたのでトライしてみる。さとうきびは竹のような形をしていて、それを若者が無造作にローラーのような機械にかけると、べしべしという音を立ててへしゃげて、汁が下に落ちる。
たまった汁に氷を入れてストローをさしそれで出来上がり。
さとうきびジュースは甘く、一瞬アルコールのにおいがしたように感じた。
かすかに青臭い匂いがする。

公設市場に入るとサングラスをした豚の顔が僕を出迎えてくれる(悪趣味!)。
市場の二階の食堂に入りゴーヤチャンプルーを頼む。
初めて食べるゴーヤチャンプルー
僕の第一印象はさほど苦くないな、しかし少し油が強いな、というもの。まずくはないけれど、好んで食べたいというほどのものでもない。もちろん、これはたまたま入ったお店での印象なのだが。

こうして一人旅の初日はあっという間に過ぎていった。

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次回以降、こちらでは旅行でいろいろ考えたことについて書きます。
気楽な写真中心のよもやま話はPhoto Albumにて随時少しずつ掲載します。