風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

思うこと

memento mori

今日の夕刻、大学病院眼科での検査手術へ。 顔全体を覆うカバーを掛けられて、洗浄液で目を洗い、麻酔薬を瞼の裏表 にうたれる。先に麻酔入り目薬をうたれていても瞼周りは敏感なのだろう。 注射針が痛い。 麻酔が効いたころ医師がメスで瞼裏を切って患部を…

実存が危機にさらされて

次の火曜日に検査のための手術があり、その結果で大きな手術をしないといけないか、 小さな手術で済むかが判る。 大学病院でその診断を聞いた一昨日は相当に落ち込んだ。 食欲は全く失せ、その夜は一睡もできなかった。 考えても仕方ない、なるようにしかな…

情念の向かう先

随分長い間、本家を更新することがなかった。 いや、本家だけではない。 分家の「日記帳」だって最近はかろうじて「週記帳」になれているかどうか、 というところだ。これだけ更新が滞っているのはもちろん仕事の多忙さや転居、 単身赴任に伴う雑事が多いの…

熟成できない焦り

最近は仕事に追われている。 いや、時間的に追われているということではない。 出張こそ多いけれど、そうでない時は大体、7時前にはオフィスを離れ8時前には帰宅 しているのだから、決して肉体的に多忙というわけではない。 精神的に追われている、というこ…

「エウレカ!」という蜜

最近ずっと自分はしかめっ面でいるように思えてならない。 多分、実際そうだと思う。 周囲の人間はさぞ、うざったく思っていることだろう。 何が自分をそうさせているのか。 いろいろな理由はあるけれど、焦燥感がそのひとつにある。 いろいろな焦燥感。 例…

インテリ

僕はつまりのところ「インテリ」なんだな、と改めて自覚した。 「インテリ」とは、つまりは「観念的」ということで、自分の中の「観念」と 「実存」が遊離していて、実存部分と観念部分の葛藤に「苦しむ」というのが その特徴だ。そんなものを遊離させなけれ…

公ホリック

「おおやけホリック」と読む。 僕の造語だ。 男の多くは、この「公ホリック(=公中毒)」に罹っている。 反対の女性の多くは「私ホリック(とりわけ恋愛ホリック)」に罹っている。 とはいうものの、どちらのホリックのどちらが具合が悪い、というものでも…

ひとは一生にひとつのことしか出来ないものだ

2011年が終わり2012年が明けた正月早々、オウム真理教の平田容疑者が自首したという ニュースを読むことになった。実に17年の逃亡生活の末の出頭だった由。 17年間、身を隠し逃げ続けるのはどんな心持ちの日々だったのだろうか。 しかしながら、平田容疑者の…

鬱に陥らないために

東日本大震災の報道を自宅にいる間、ずっと見続けていた。 あまりに膨大な被害、あまりの悲惨さ、あまりの無惨に息をのみ、目を逸らす ことができずにいた。 それに加えて原発の事故。 これも刻々と変わる状況を固唾を呑んで見守ってきた。 そして日常の仕事…

教養と創造力

教養と雑学の違いについて内田先生の定義ほどわかりやすく的確なものはない、と 思う。以下、引用。 【引用始まり】 --- 教養は情報ではない。 教養とはかたちのある情報単位の集積のことではなく、カテゴリーもクラスも 重要度もまったく異にする情報単位の…

教育とパラダイム

そもそも公教育は「国家にとって有為な人材を育てること、そしてせめて有為でなく とも社会の安定と発展に寄与できる人材がマジョリティになること」を目指して創ら れたものと考える。しかしながら公教育が創られた時代と現代では、教育の前提と なっていた…

「濁」は呑まずに生きたいと思う。

昨夜、山崎豊子原作の「沈まぬ太陽」をテレビでやっていたので見た。 前半の労働組合が主題に取り上げられていた部分は、僕たちの年代ですら激しい 労働争議を目にしなかったわけであるから、最近の人達がどう受け止めるのだろう と少々気になった。また、海…

「言葉の力」再考

水曜からのドイツ出張に向けて重い腰をあげて荷造りを始めた。 現地7泊なので結構な量になり、詰めていて気が重くなる。 出張でない旅行でも荷造りをしている時はだいたい憂鬱で、行きたくない気分になる のだが、出張なのでなおさらである。ああ遠いな、ま…

村上春樹が語ったこと

昨日、日記帳のほうで取り上げた「考える人」に掲載された村上春樹のロングインタ ビューを読了したので、特に心に残った部分を備忘録として抜き書きしておく。 【引用始まり】 --- 『ノルウェイの森』はもともと250枚ぐらいの、さらりとした小説にする …

鳩山首相辞任に思う

鳩山氏が辞任し菅直人氏が新総理となった。 メディアは皆、鳩山は馬鹿だった、無能だった、と罵っているが、どうなのだろうか? 僕が思うに、政治家としてバランス感覚に少々問題はあったものの、そこまで罵倒される べき総理大臣だったとは思っていない。政…

吉本隆明あれこれ

吉本隆明「共同幻想論」を再読完了。 吉本の考えるところの対幻想が共同幻想に成長してゆく過程については十分了解できた という実感はまだない。ノートを取りながら読んだがその点以外、いろいろな面で考え させられ、面白かったので、以前父親から譲り受け…

能 〜 沈黙と静寂の芸術

東京での2年間で意義深かったことのひとつに、能を見たことが挙げられる。 能は僕に二つの思考の種子をくれた。 一つめは能を通して芸術における沈黙と様式の意味を考えさせられたこと。 台詞や囃子、謡があるものの、基本的に能は沈黙と静寂の芸術である。…

辺縁に身を置きたい

日々僕は焦燥感を感じている。 「まだ何も世界のことを理解していない。まだ何も自分と世界の間に普遍の 架橋が作れていない」ということに。 若い頃からしばらく前まで、仕事から、そして仕事の人間関係から得るもの もあったが、最近はそれもなくなりつつ…

知性のペシミズム、意志のオプティミズム

思想家アントニオ・グラムシの有名な言葉に「知性のペシミズム、意志のオプティ ミズム」というものがある。 この言葉はグラムシがムッソリーニによって投獄されている期間に綴られた「獄中 ノート」にある言葉ということだが、この言葉の僕なりの解釈はこう…

己の義

先週大河ドラマの「天地人」を見ていて上杉謙信が樋口(直江)兼継に言った言葉 がとても印象的だった。義を貫くためには人を殺めなくてはならぬこともある、 という矛盾に迷う兼継に、謙信は(概略)こんな言葉を贈ったのだ。【引用始まり】 --- お前を見て…

メールの作法

僕がPCでメールを使うようになったのは1996年頃だからもう10年以上前だ。 この10年間で書いたメールは何百通に及ぶだろうけれど、最近、メールの作法で 意識的に変えたことがある。 それについて書いてみたい。メールを始めたころは「引用符」を多用していた…

正論を主張する時には

組織の中では、論理的に正しく誰からも非難されないように完璧に仕事をして いれば評価されるというものではない。むしろ「論理的に正しい」ということに こだわり、やたら主張する人は煙たがられ脇に追いやられる傾向がある。 僕はそれはしごく当然だと思う…

高貴な死か、卑屈な生か

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の中でアントリーニ先生がホールデン に『未成熟な人間の特徴は、ことにあたって高貴な死を選ぼうとする点にある。 これに反して成熟した人間の特徴は、ことにあたって卑屈な生を選ぼうとする 点にある』と言うシーン…

生の豊穣さを感じたい

お盆休みということで自宅に帰ってきている。 今日、Tシャツに半パン姿でかっと日光が照りつける日中にスーパーまで出かけた。 夏空、きつい日光に輝く緑、セミの声。 こういったものが東京にいるより自宅のほうが鮮明に感じられるのはなぜだろう。 あらゆ…

「人間の自然状態」は本当か?

アニマルプラネットの「ミーアキャットの世界」がお気に入りでDVDに録画 して見ている。彼らの社会では「優位のメス」がリーダーとして血族グループ を率いる。「優位のメス」と交尾して子孫を残せるのは一番強くて体が大きい 「優位のオス」だけである。…

書生とオトナ

司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読み返していて面白いフレーズに行き当たった。 木戸孝允と西郷隆盛についての記述である。【引用始まり】 --- 木戸は、あくまで書生気質を維持している。 このあたりが滑稽で、木戸は本来の性格からいえば非書生的であり、うま…

仕事と生き方

4月から新しい役職で仕事をすることになった。 仕事上の責任がこれまでとは桁違いに重くなったことにに加えて、馴れない単身 赴任生活だからだろうか、ひどく風邪を引いてしまって、ほうほうのていでこの 週末、自宅に帰ってきた。 今日は一日ソファでうつ…

一人暮らしを始めて思うこと

「単身赴任日記」に報告している通り一人暮らしを始めました。 まだ生活が落ち着いているわけではないのですが、だんだんにリズムができつつ ある状況です。そんな中、やっとネット環境も整いましたので取りあえず思うことを 書いてみたいと思います。まず、…

選挙で政治家を選ぶ方法

Dead Letterさんの鋭い見方には啓発されることが多いのだけれど、今回のエントリ 「橋下徹の当選」の意味 を読んで確かに、と考え込んでしまった。我々が選挙で政治家を選ぶ時、候補者の当該選挙においての「公約」の内容によって 吟味し投票するべし、とい…

心萎え

冬らしい暗くて寒い日々ですね。 こういうのは嫌だけれど、本来、冬というのはこういうものであるはずなのです。 今回の更新ではドストエフスキーの「死の家の記録」について書こうと思っていた のですが、どうにもその気にならないのでやめにしました。ここ…