風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

「エウレカ!」という蜜

最近ずっと自分はしかめっ面でいるように思えてならない。
多分、実際そうだと思う。
周囲の人間はさぞ、うざったく思っていることだろう。
何が自分をそうさせているのか。


いろいろな理由はあるけれど、焦燥感がそのひとつにある。
いろいろな焦燥感。
例えば、、僕は、宇宙の真理を、世界の全てを、人生のあらゆることを
自分なりに納得し、あるべき場所に整理して死にたいと思っているのに
いっこうにその思索が殆ど進んでいないことに対して苛立っている。
本屋にいくといつも絶望感と焦燥感に苛まれる。
世界にはこんなに沢山の本があるのに、僕が死ぬまでに読める本は
ほんのわずかだ、という思いに責め苛まれる。そうすると下らない
本など読まず、本当に読むべき本を厳選して読まなければ、と思う
のだが、つい、手軽な文庫やら新書やらに手が伸びてしまう。
誘惑と欲望に負けるのだ。


今の僕は、空っぽの袋だ。
自分自身が空っぽだから、意味ある事も、いい文章も書けない。
余裕がなくて出す一方で、十分な蓄積がなされていないからだ。
小器用に手先の技術だけで書き飛ばしている作家に近い。
こんな日々を続けていたら絶対駄目なのだ。


そして現実をコントロールできていない焦燥感。
たとえ、現実が偶然うまく転がっても僕は嬉しくないのだ。
自分がコントロールして、自分の思った通りにできて始めて嬉しい。
それが、なかなかそうは行かない。
そうなると面白くない。
そんな風に思っているから、つねにしかめっ面になる。
常に渋い難しい顔になる。


たぶんどこかで僕は人生を間違ってしまったのだ。
「観念」という細菌が僕の頭の中に忍び込んで増殖しているのだ。
でももうその増殖は止めることはできない上に、彼らは時々、
甘い蜜を出すのだ。
エウレカ!」という蜜を。