風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

2004-01-01から1年間の記事一覧

「逃げていく街」

「逃げていく街」。 山田太一のエッセイ集である。逃げていく街 (新潮文庫)作者: 山田太一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/02メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る彼のテレビドラマはいくつか見たことがあるけれど、登場人物…

ディベートって立派?

「ディベート」ってご存じでしょうか? 狭義には「あるひとつの論題に対し、2チームの話し手が肯定する立場 と否定する立場とに分かれ、自分たちの優位性を聞き手に理解してもらう ためにする議論競技」だ。まぁ最近は広い意味で「感情的じゃない論理 的な…

白い夜

目が覚めた。 ぶ厚いカーテンの隙間から明るい光が射しこんでいる。 別に変なことじゃあない。 それが夜の2時過ぎである、という点を除けば。 これが、白夜なのだ。ここはフィンランドの首都ヘルシンキからさらにずっと北の町。 北緯63° 僕が出張で訪れた中…

韓流ドラマ雑感

巷で評判の韓流ドラマが面白い。 僕が見たのは「冬のソナタ」と「美しき日々」だけだけれど、普段テレビ ドラマをまず見ない僕なのに、すっかり引き込まれて見てしまった。まずドラマそれ自体の作りは粗っぽく非常にいい加減なところが目立つ。 ストーリーも…

マタイ受難曲

クラシック音楽のCDの売れ行きが凄まじく減っているそうだ。 本当か嘘か知らないが、5000枚も売れれば大ヒットの部類だとか。 まぁ、これはやむを得ない。別に演奏家やマネジメントのせいとは 思わない。同じく(ここが重要なのだけど)聴衆が悪いとも思わ…

硬質な抒情

ここのところ池澤夏樹の本を何冊か読んでいる。 「スティル・ライフ(これは再読)」「骨は珊瑚、目は真珠」「ハワイイ 紀行」など。池澤の作品はどれも硬質な抒情が感じられるものばかりだ。 僕はこういう「抒情性」に昔から弱い。 例えば柴田翔とか堀辰雄…

凍りついた海

そのとき、僕は小さな港町にいた。 真冬の、2月のデンマークの北海に面した小さな港町。 小さな、ほんとうに小さな町。その町に滞在したのは、もちろん仕事のためだ。 仕事以外何一つすることがないような町。 小さな鉄道駅と港以外、何もない町。 地獄の門…

ヴァンドーム広場

「ヴァンドーム広場」を観た。 カトリーヌ・ドヌーヴ主演の1998年のフランス映画。マリアンヌ(ドヌーヴ)は 自殺した宝石商の妻。そこに現れたのが、かつて愛したこともあるが、裏切った 上に自分を捨てた男。マリアンヌは過去を清算するためにもまた男と会…

何故、女性には恋が全てなのか。

香川大学に岩月謙司という教授がいる。 この人の「女は男のどこを見ているか」という本(ちくま新書)は、そこ そこ売れたので、ご存じの人も多いと思う。僕もこの本を読んだのだけど、 なかなか説得力のある、体感的には納得できる部分が多くある本だった …

The Remains Of The Day

英国人作家カズオ・イシグロの小説「日の名残り」が好きだ。 映画にもなっていて、主人公の執事スティーブンスをアンソニー・ホプキンスが 、女中頭のミス・ケントンをエマ・トンプソンが見事に演じていた。 この小説では一度だって、好き、とか、愛してる、…

「人に迷惑さえかけなければ何をしてもいい」のか?

僕には大嫌いな言葉がある。 「人に迷惑さえかけなければ何をしてもいい」 という言葉だ。何故嫌いか? この言葉、一見まっとうで論理的に正しいことを言っているようなの だが、人が言葉に出すときには、前半「人に迷惑さえかけなければ」より も後半「何を…

読者が感じる痛みには自覚的であり続けたい

何故、インターネットという公開された場で記事を書くのか? 自分の気持ちを吐き出すだけならば、公開などする必要は、ない。 僕も、そして他の日記を公開されている記者の皆さんも「人に読まれる」 ことを大前提にして日記を公開している。その理由はいろい…

結婚の本質

根っこからいこう。 なぜ結婚という制度ができたのか、考えてみる。恋愛というのは非常に強い不安定な感情だ。相手をどうしても独占したい 「この人の為だったら【家族だって、共同体だって】何だって捨てられる」 という強い感情。でも、ちょっと待ってくだ…

真実は中庸の中に

心が真っ白な人なんて、いない。 逆に心が真っ黒な人もいない。 みんな、実のところ半分半分、だ。 いやそれは言い過ぎ、か。 ある時は45:55になったり、ある時は55:45になったりはする。 せいぜいその程度。 これまでいろいろな人と接してきて、…

幸福の条件

中島義道という、僕が大嫌いな哲学者(印税が彼の手元に入るのが嫌で 彼の本は古本屋でしか買わない(笑)がいるのだが、珍しくまともなこと を書いていた。彼によれば人が「幸福」を感じるのは以下の条件が満たさ れている時だと言う(ちょっと言葉を変えて…

認められたい

人はいったい「何を求めて」生きているのだろう? 今の僕に一番ぴったりした考え方、それは『自分自身および他者からの 承認』を求めて生きている、という説だ。残念ながら僕自身が考え出した 答えではない。勢古浩爾という人が自分の著書で繰り返し書いてい…

内と外

英国の生地で仕立てたスーツを着て、きちんと磨いたスコッチグレインの 靴を履き、アクアスキュータムのトレンチコートをはおる。 コロンはサンローラン。 これが仕事に出る時の僕の格好。「awayさんはスーツが似合う。オシャレだ。」とよく言われる。 でも…