風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

英語と思考(1)

僕の仕事は海外絡みなので、英語は商売道具とも言える。
それで、よく「英語を喋る時、日本語で考えた文章を頭の中で英作文
して喋ってるんですか?」と聞かれる。
この答えは「No」です。
これ、僕だけじゃなくて、ある程度外国語を喋る人ならみな同じだと
思うのですが。。。

日本人同士が会話する時を想像してみてください。
普通のテンポなら、日本語ですらいちいち作文してから喋るなんて
不可能でしょう?だから英語も同じなんです。
英語を喋る時は「英語で考えています」。

こう言うと、ひどく不思議がられることもあれば、異星人を見るよう
な目つきで見られることすらある。
でも、本当なのだ。
いや「英語で考えている」というのも、本当は正しくないですね。
詳細に自分の様子を観察すると、まず「喋りたい何か」(これは日本
語でもない、英語でもない概念そのもの)があって、それが英語を
喋る時は、ダイレクトに英語での表現が、そのまま口から出るという
感じなのだ。
つまり、日本語を喋る時と基本的に同じ、だ。

だから、こういうことがしばしば起こる。
このあいだから、取引先のアメリカ人が来ていて、ずっと一緒に行動
していたのだが、夜になって疲れて、かつ、アルコールも入ってくると
脳の中の英語モードと日本語モードがごちゃごちゃになってくるのだ。
そうなると、うっかり料亭の仲居さんに英語で返事をしたり、アメリ
人に向かって日本語で話しかけたりしてしまう ^^;

もっとも、これは僕だけではないらしく、オランダで英語で取引先と
交渉していた時、相手にドイツから電話が入り、そのオランダ人は
ひとしきりドイツ語で先方とやりあったあげく、いきなり僕の方を
向いてドイツ語で交渉の続きを始めたことがあった。
彼らとて、やはり混乱することはあるのだ。

そんなのはまだ可愛い。
欧米に長期間出張に行っていると、ホテルの部屋で英語で独り言を
言ったり、英語で夢を見たり、頭の中で英語で考えているのが常態
になってしまう。
昔のことだけど疲れ切って成田に帰国した時、こんなことがあった。
飛行機を降りて、ターミナルに向かうバスの車中で、前の席の日本人
二人が喋っている内容がどうしても理解できない。
何故だろう?と真剣に悩んで、はっと思い当たった。
僕は、彼らの日本語の会話を、必死で「英語として」聞き取ろうと
していたのだった。

「英語と思考」については書きたいことがまだまだありますが、とり
あえず今日はマクラです。
このへんで。。。