風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

牛乳を注ぐ女

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仕事の合間をぬって乃木坂の新国立美術館に行ってきました。
平日の午前中だから空いているだろうと思っていたら、大間違い。
人でいっぱいでした。
僕同様「牛乳を注ぐ女」を見たい人は沢山いるようです。

新国立美術館では12月17日まで「フェルメール《牛乳を注ぐ女》とオランダ風俗画展」
をやっているのです。美術に疎い僕が何故この展覧会に行こうと思ったかと言えば、
ひとつはこの絵を以前アムステルダムで見て当時強い印象を持ったから、もうひとつ
フェルメールの絵が好き、というかとても気になる存在だからです。

僕はフェルメールの絵は二点だけ記憶に残っています。
一点は今回のこの「牛乳を注ぐ女」で出張の狭間の休日に訪れたアムステルダム国立
美術館で見たのですが、その静謐さ、光と影の柔らかさ、落ち着きといったものに
強い印象を持ったのを覚えています。もう一点は「天文学者」という絵でこれはパリ
ルーブル美術館で見ました。僕は天文に興味があるのですが、この絵の天文学者
天球儀を見る様子に科学者の真剣さと夢中に考えている様子が伝わってきてとても
印象的でした(これは、絵の感想ではないですね ^^;)
さて、この二つの美術館に加えてメトロポリタン美術館も行ったことがあるわけです
から、僕はもっと沢山フェルメールの絵を見ているはずだし、覚えていてもいいはず
ですが(「手紙を読む青衣の女」とか「レースを編む女」とか「水差しを持つ女」
とか)まったく記憶にないのです。
もったいない話ですけれど。

さて今回、混雑の中でこの絵に再会しました。
しかし、絵からずいぶん離れたところにロープが張ってあって、行列になって
いることもあって細かいところをゆっくり見ることができません。
それでも改めて感じたことが二つありました。

まずひとつめは、この絵はやはり特別に優れている、ということです。
当たり前だ!と言われそうですが、同時代の有名な風俗画家達も同じような構図、
光線、人物配置の絵を沢山描いているけれど、そのなかでもこの絵はやはり飛び
抜けている。ただ、どこがどうで、何が、どうして飛び抜けているのか?と聞か
れると僕は答えられない。
こんな印象批評的な言葉しか出てこないのが歯がゆくも情けないのですが。

もうひとつ感じたのは青色の美しさです。
この絵では女性のスカートとテーブルの上に置かれた布に青が使われているのです
が、この青(というか藍というか)の色がとても印象的なのです。この青色は
フェルメールの生まれ故郷のデルフト市特産の焼き物の青(デルフト・ブルーと呼ば
れる)に通じる鮮やかさと深さだと思いました。
実に美しい青色が使われています。

仕事の途中の空き時間で立ち寄ったので1時間ほどで美術館を後にしないといけなか
ったのが残念でした。展示室には当時のオランダの古楽器を展示していたり「画家の
アトリエ」や「恋文」などでフェルメールが好んで描いた部屋(黒白のタイル張りの
床!)が再現されていたりで、とても楽しむことができます。
皆様も宜しければぜひどうぞ!
ただし以下のHP上の『混雑状況』を確認の上行かれることをお勧めします。

フェルメール《牛乳を注ぐ女》とオランダ風俗画展