風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

三回忌

早いもので、今年は一昨年亡くなった友人の三回忌になる。
三月は、海外出張が二つ入るし、ばたばたしてとてもお参りに行けそうもない。
そう思って今日、故人宅に伺った。
花屋さんで故人が好きだった色のお花を頼んで花束にしてもらう。
「いかにも」な仏前のお花は持って行きたくなかった。

友人宅には現在ご両親が住んでおられる。
上がらせていただいて、いろいろとお話をする。
ご両親のお気持ちは彼が亡くなったあの日から止まったままだ、ということを
痛感した。

ご両親は写真を沢山だしてきて下さる。
笑っている彼。
楽器を弾いている彼。
宴会で楽しそうな彼。
写真の中には数年前の僕自身も写っていた。

彼の残した自費出版の本は増刷され、同じ病気に苦しむ人達の間に静かに広がり、
読まれているとのこと(彼を看病していた看護師さんたちが口コミで紹介して
くださっているそうだ)。
この本には、彼が遺した詩と闘病記が綴られている。
僕の書斎の本棚にも、机に座っていても手を伸ばせばいつでも手に取れる場所
にこの本を置いている。
僕にとって、とても大切な本なのだ。

よく生きるとはどういうことか?

僕は彼の闘病を見守る中でそれを真剣に考えさせられた。
彼からはうんと沢山のことを教えてもらった。
言葉にできないほど感謝している。

故人宅から歩いて40分ほどの場所に、山茶花が咲くお寺がある。
この境内の墓所に彼は眠っている。
草花が美しい静かなこのお寺を改めて訪れよう。
そして四季折々に、彼と二人の会話を楽しみたい。