風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

手紙

先日、TVドラマ「氷点」を見た。
ちょうどこの原作を読んでいるところでもあって、内容についていずれ記事でも
触れようと思ってはいるけれど、今日はちょっと些末なことを。

このドラマの後半で、主人公の陽子と陽子の兄の友人・北原が手紙をやりとりする
シーンがある。
自宅のポストに北原からの手紙をみつけて喜ぶ陽子。
配達があっても北原からの手紙がなく肩を落とす陽子。
これを見ていて奥さんと一緒に「我々の時代でも、手紙で結構やりとりしたよね」
と盛り上がったのだ。

僕たちの青春時代にはまだ携帯電話はなかったけれど、固定電話は当然あった。
でも恋人たちのコミュニケーションはいつもいつも電話というわけでもなく、手紙
という手段だって随分利用されていたと思う。
このドラマを見ていて自分も青春時代に好きだった人と手紙をやりとりしていた
ことを懐かしく思い出した。
便せんに一字一字丁寧に書いたこと(何枚も書き損じたこと)。
ドラマの陽子と同様、ポストに確かめに行く時のドキドキ感。
ポストが空っぽだったときの失望感。
封を切る時の胸の高鳴り。

メールだって同じじゃないか?と思われるかもしれないけど、やっぱりそれは
違うと思う。
なんといっても肉筆、ということ。
届くのにも返事が来るのにも時間がたっぷりかかること。
そして、何かを同封できること、など。
「昔は良かった」じゃないけれど、あれはあれで本当に良いものだったと思う。
手紙で伝わるものを10とすると、メールではひょっとするとその半分もいか
ないのではないだろうか?

そんなことを言いつつも、僕はもう長い間、誰かに手紙を書いた記憶がない。
考えてみれば当時だって「恋人」ぐらいにしか手紙なんて書かなかった。
つまり、それぐらいパワーが必要な面倒くさいことだったのだ。
恋愛の熱狂がなければわざわざそんなことなどしなかったに違いない。
当時だって、単なる友達とは電話だけで話は済ましていたのだった ^^;
僕は、もう誰かに手紙を書くことなどないかもしれませんね。