風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

頑張れる理由

僕の一年上の先輩が会社を辞めることにしたということで、先日一緒に食事をして
話を聞いた。
「これ以上頑張る理由が見つからない」のが理由だと言う。

先輩が所属している部署は、今、業績が最低でボーナス・昇給の面で非常に辛い状況
に置かれている。おまけに人員不足で毎日遅くまでの仕事に加え、土日には平日に
できない会議に招集され、普段の仕事に加えて、やれ内部統制だ、やれコンプラ
アンスだ、やれ人事評価だ、と無茶な期限で無理難題を突きつけられている。
疲労困憊した先輩の立場に自分を置いてみると、その気持ちはすごくわかる。

先輩はこう言った。
「上司は頑張れ!未来を信じて頑張れ!というけれど、そもそも何のために頑張る
 のか、僕にはどうしてもその理由が見つからない。
 このままここにいても、明るい未来も、信頼できる上司も、納得できる金銭も
 手に入るとは思えないし、何よりそんなこと以上に、今の仕事に愛着がないし、
 この職場ではこれから先、自分の能力が生きる仕事ができるとは思えない。
 自分は家族がいないから(彼は離婚して今は一人)収入が減ってもやっていける。
 だから、ここらで会社に見切りをつけるよ」

そうだよなぁ、と思ってため息をつく。
人が仕事で頑張るには「頑張る理由」が必要なのだ。
それは、金銭への欲望なのか。
それは、地位への野望なのか。
それは、仕事の楽しさなのか。
それは、仲間や周囲への愛着なのか。
それとも「家族を人質」に取られてやむなく、なのか(笑)

我が身を先輩の立場に置いてみる。
確かに先輩と僕の違いの一つに「家族」の存在がある。
家族の為にある金額を安定的に稼ぎ続けないといけない、という責任は重い。
だから僕の場合はそう簡単に会社を去ることはできない。
しかし、それに加えて、もうひとつある。

僕は先輩と違って、今している仕事が好きだ。
これはとても大きなことだと思う。
好きだから、たとえひどい目にあっても耐えられるのだ。
好きだから、理不尽なことが沢山あっても我慢できるのだ。
最後はそこに行き着くのではないか。
お金も地位も大切だけど「好き」にはそれを超えさせる何かがある。

これからの時代は、いろいろな意味で日本はますます厳しい社会になる。
そんな中で自分が「頑張れる何か」「頑張れる理由」を見つけることは重要だ。
心の底の底で自分がほんとうに大切だと思うもの、欲しいと思うものはは何か。
それを、自覚しないといけない。

先輩が次の職場で、能力を生かせる「好きな仕事」ができることを祈りたいと思う。