風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

「自分の力」を信じる思想

これまでも何度か引用してきたが、勢古浩爾(せこ・こうじ)という人がいる。
この人の最近書いている本は頂けないしくだらないものも多いのだが、彼の主著
といえるこの『「自分の力」を信じる思想』には僕は感銘を受けた。
ちなみに題名はなんだか「ガンバリ系ビジネス書」みたいだけど、内容は全然違う。

初めてこの本を読んだとき不思議な気分になったことを覚えている。
この本における彼の基本的な人生についての考え方は、僕と全く同じなのだ。
比較的最近出てきた人なので僕自身がこの人の本を読んで影響を受けた、といった
ようなことは全くない。つまり彼も僕もまったく独自に思考して同じ結論に達した、
ということになりそうである。

僕はこういう風に思う。
彼も僕も程度の差こそあれ恐らく同じ境遇を生きてきたのだ。
 常に結果を出すことを求められる人生。
 結果を出すべく必死で努力しても必ずしも結果につながらないことが多い人生。
 他者からの評価・承認は「過程」ではなく「結果」のみによって成される人生。
 それでいて自分自身と他者からの「承認」は痛いほど欲しい人生。
そんな人生で揺らぎない情緒と安定した自我をもたらす哲学を必死で追い求めたら、
たまたま同じ結論に行き当たったのではないだろうか?
その意味で勢古の哲学は思考を「人生」という金てこの上で「現実」という槌で
もってとことん鍛え上げたものだと言える。
個の実存の思想としてはある意味、最強と言ってもいいのではないか。

ただ、本書の中で彼が使う用語「根性」とか「覚悟」とかが右翼系ツッパリ兄ちゃん
や体育系ど根性主義と取り違えられてしまわないか、いささか心配である。同じ道筋
をたどって思考してきた僕には彼が込めたいニュアンスや意味は本当に痛いほどわかる
のだが。
この本の内容を端的に書いている一節を引用しよう。

【引用始まり】 ---
本書の「自分の力」が目指すのはその中間である。
人生の「勝者」になることや「成功」が「力」の最終目標でもなければ、「好きなこと」
だけをして気楽に生きていこうというのでもない。それは、依然として「自分の力」で
ひたすら努力し、「まじめ」に全力で生きていくことに意味があるという道だ。
(中略)
「自分の力」は自分を動かして自分の意味を証明する。
他人にではなく、自分に力をふるって、人生を推し進め、後退を食い止め、自分をささ
える。それが「生きる力」ということの意味である。
【引用終わり】 ---

興味のある方は読んでみて下さい。693円です。

「自分の力」を信じる思想 (PHP新書)

「自分の力」を信じる思想 (PHP新書)

# ちなみにアマゾンのレビューの最初のものはひどい誤読をした上でレビューを書いて
  います。アマゾンに限らず他でも散見するのですが、自分が内容を理解できないのを
  本のせいにしてレビューを書く人がいるのには驚いてしまいます。
  理解できないのは「他の理由」がある、と僕は思うのですが ^^;