マネークリップ 〜 僕の宝物（３）

ある方に頂いた銀のマネークリップです。
裏側に僕の実名のイニシャルが入っています。

マネークリップを初めてみたのはアメリカ出張の時だったと思う。
日曜日、取引先の人にショッピングセンター（カナダとの国境に近い小さなその街
には暇つぶしする場所はショッピングセンターぐらいしかないのだった。）に
連れていってもらった時、彼がジーンズの尻ポケットからマネークリップに挟んだ
お札をさっと取り出したのだ。

「格好いいな」と思った。
ラフな格好をしているとき財布はあまり似合わない。
特に分厚い財布は最悪だ。
といって、お札をそのままポケットに、というのも頂けない。
マネークリップはそういうシーンにとてもマッチしているな、と思ったのだ。

そうは思ったものの、僕は帰国してもマネークリップを買わなかった。
何故？と言われると返答に窮するけれど、その気にならなかったのだ。
気に入ったデザインのものもなかったし。

数年前、このクリップを頂いたとき一目見てすごく気に入った。
僕が欲しかったのはこういうものだ、と思ったのだ。
シンプルで余計なもののついていないマネークリップ。
それから何回かジーンズのポケットに入れて使っている。
でも、落とすのがとても怖くて本当に時々しか使えないのです。
落としてしまったら、下さった方に悪いことが起こりそうな気がして。

このマネークリップ、シルバーなので油断していると曇ってくる。
それが哀しくて時々僕は取りだして磨いている。
手の上に乗せると小さいけれど存在感のあるマネークリップ。
僕の大切な宝物のひとつです。