風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

年を取ったら

「年を取ったら」
君は大きな目をくるくるさせて言う。
「二人だけだし、だいいちそんなにたくさん食べなくなるでしょう?そしたら、
デパ地下で美味しいものを少しだけ買うのよ。そして二人で分けて食べる。
いいでしょ?美味しいものを少しだけ」
「年をとったら二人であちこち旅行に行くのよ。そんなに遠くなくてのんびり
できる景色のいいところへ。」

「わたしはすごく幸せだから、いつ死んでも悔いはない」
そう言う君は楽しそうだ。
料理を作りながら、本を読みながら、歌を歌っている。
僕はそんな君を見るのがとても好きだ。
君は、尊重されずっと大切にされるべきひとなのです。
幸せそうな君を見ていると僕も幸せになりそうになる。

一方で、僕はgonさんのブログの言葉を思い出す。
厳しくそして美しい言葉を。

言葉にしてはならないものがある。
言の葉はその葉脈に自己憐憫や欺瞞、身のうちの毒を吸い取って散ってゆく。
言葉を散らすことにより人は癒され、再生する。
そこにはどうしようもないほどに生命力にあふれた人間の存在がある。
そして、僕はその力強さが嫌いだ。

人は救われてはならない領域をもつ。
その領域にひとりで身をおくことを矜持というのだ

僕にも救われてはならない領域がある。
それを二度と言葉にしないと僕は誓った。
それこそが僕の望むことだ。
簡単に救われてはならない事柄も存在する。

ならば、背負って歩く。