恐るべし、アマゾン
僕の奥さんは「アマゾネス」です。
それは、彼女が僕と同じアスレチックジムで身体を鍛えていて腹筋が割れて
いるスポーツウーマンだから。ではなく(笑)、僕の家にはひっきりなしに
アマゾンから宅急便が届くからです。
そう、もうほとんど毎日。
本やCDの購入にアマゾンをやたら利用して、結果的にリアルの本屋にあまり
行かなくなってしまった人を「アマゾネス」と呼ぶことをごく最近知って
思わず笑ってしまった。
僕の奥さんはまさにそれ。
「だって」君は口を尖らせる。
「アマゾンって、ログインしたら”お勧め”してくるのよ。わたしに、ほら、
興味あるでしょう?って。そしてその進めてくるものがまた私が興味ある
ものばかりなのよ」
確かに僕も最近、アマゾンで本を買うことが多くなっている。
リアルの本屋に行く時間的な余裕がないこともあるけれど、それ以上に僕が
読みたい本が一般の本屋に置いていないことが多いせいもある。
初めてアメリカに行ったとき、ニューヨークの有名な書店に立ち寄ったのだが
そこでなにより驚いたのは本の種類の少なさだった。
ただし、ベストセラーだけは平積みで沢山おいている。
なるほど、売れ筋の本しか置かないのか、これが本を文化ではなく商品と捉え
る資本主義の行き着くところなのだ、と一人納得したことを覚えている。
当時は日本の書店ではまだまだ本の種類が多かったのだ。
さて、時代は移り日本のリアルの書店の本の種類はどんどん減ってアメリカと
同じ売れ筋中心の品揃えになってしまった。
あ、あの本をちょっと、などと思って本屋に立ち寄っても、そこそこ大きな本屋
でもその本が少し古かったり、硬い内容だったらまず見つからない。
そこに登場したのがアマゾンだ。
アマゾンなら、絶版になっていなければ滅多に町の本屋に置いていないような
本でも簡単に入手できる。それも1-clickの登録をしておくと買うのは本当に
1秒で済むのだ。1500円以上買えば送料はかからないし本当に便利。
かくして、僕の家からアマゾンの空の段ボールがゴミの日に大量に出ることに
なる。確かに便利な時代になったものだ。
ロングテールを利用したWeb2.0ビジネス万歳!か?
しかし、時々寂しくなるのだ。
年取った書店主が奧に座る小さな本屋で息を潜めて立ち読みをした子供時代。
意を決して本を手にとり、お小遣いを握りしめてレジに向かったあの心持ち。
ふと見つけた新潮文庫(海外)の半ば黄ばんだ表紙の文庫本を衝動的に求めた
学生時代。
そういう本との偶然の邂逅、遭遇がとても懐かしいのだ。
町には一軒、小さな本屋が欲しい。
僕のノスタルジックで勝手な思いかもしれないが。